◆「欠陥」は業者だけの問題?
著者は、自分の家を建てたが、この世界でもトラブルは多い。「家は3回建ててみないと分からない」とも昔から言われている。それに加えて不況による多層下請け構造や悪徳業者による欠陥住宅被害。この手の書籍も多い。ITに関しても、もっと悪徳業者のやり口を暴露し、その対策を伝授する書籍が出ても良いと思う。欠陥住宅防止のポイントは、業者に任せ切りにせず、主体性を持って適宜、チェックを入れることと、第三者の専門家による検査を実施するということであった。そこで、我が家では、業者に任せ切りにせず、以下の対策を取った。
・3Dソフトにより完成後の生活イメージを、家の外観だけでなく、屋内の動線などま
でウォクスルー機能で確認した。
・第三者の建築士に、見積りや図面、基、棟あげ、竣工の各段階での建築検査を依頼した。
同様に、システム構築でも、業者に任せ切りにせず、主体性を持って対策をとることができる。
・システム完成後の実際にシステムを利用した業務をしっかりイメージ固めする。
画面・帳票スケッチを使用して業務フローにそって紙芝居(ウォークスルー)を行う。
・システム部門または、業者と独立したシステム監査技術者やシステムアナリスト、
ITコディネータなどに各段階でのチェックを依頼する。
これらは、パッケージ利用であっても同じである。また、業者に「無知」をつけこまれないように、ある程度の勉強は必要である。経済産業省の情報処理技術者試験にある「ITパスポート試験」程度は、合格できるレベルであると良い。また、日経コンピュータなどで業界の専門用語を仕入れておき、業者との会話の端々で使用して、「おっ、知っているな」と思わせれば、簡単になめられたりしない!?これは、欠陥住宅防止の本からの受け売りである。
欠陥が多く、トラブルの発生しているプロジェクトの要件定義書や仕様書を見ると、たいてい分かりにくい。ようするに、読み手に気を使っていない、一人よがりな内容なのである。自分たちの「常識」だけを前提に、何事も説明がなされており、あらゆる省略や暗黙の了解が、散見する。業者は、基本的にはコンピュータの専門家であって、業務の専門家ではない。業者の業務知識をあてにするのは、はなはだ危険である。そのわりに、自主的にシステム構築に関与せず、業者に任せ切りにしているケースも少なくない。トラブルが発生してから「業界経験を信じて、任せていたのに!」などと怒ってみても後のまつりである。
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