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◆要件を確実に伝える質の高い仕様書とは?

企業システム戦略

◆質の高い仕様書
 要件を満足するための、必要にして十分な「質の高い仕様書」とは、どんなものか。それは、要件を満足するように、コンピュータにやらせるべき「読み・書き・そろばん」が明確になったものである。特に、コンピュータに何を「書かせる(出力させる)」のかを第一に考えなければならない。決して、ITの技術的・専門的に高度な内容を「質が良い」 と言っているわけではない。

 具体的には、画面や帳票に、誰に、いつ、どこで、何を、なんの為に出力させるのかを、各業務プロセスで扱う情報項目の全てについて決定する。そんなに細かいところまでと思われるかもしれないが、たった一つの重要項目が抜けていることが、運用直前で発覚して、予算超過や実用開始遅れ、混乱を招くことも珍しくない。逆に、大して重要でもない情報を大量に出力するのは、全てにおいてムダである。

 コンピュータは、あっというまに無駄なゴミ情報を大量に吐き出し、伝達してしまう。その出力情報に埋もれて、人が整理に時間を要したり、混乱したり、あるいは、そのまま捨てられた中に重要な情報があったりしたのでは、ITによる競争力強化どころか、効率 化さえもままならない。

 要件の実現に必要にして十分な出力項目が決まったら、次に、その出力を得るための計算式(そろばん)を、同じく5W2Hにそって決定し、さらに、その計算式に必要な入力(読み)を決定し、画面帳票としてマッピングする。

 画面・帳票の他に、ファイルというものがあり、これは、コンピュータ内部のことなので、ユーザには分かり難いと思われているが、そんなこともない。「読み・書き・そろばん」において、必要な情報を、どのように整理して保管しておくかを考えれば良いだけである。事務ファイリングと同じである。仕事をするのに、取り出し易いようにキングファイルを整理分類しているように生活の知恵を働かせることだ。

 出力から遡って必要なときに、必要な情報が取り出せるようにしておくには、どうやって情報を整理し、何を記録・保管しておけば良いのかを決定する。なお、一時的に必要な出力情報や、他の情報から計算によって得られる情報は、ファイルとして記録・保管する必要はない。そのために、ITの専門知識も用語も必要ない。そうやって、考えられたファイルを、コンピュータ上で、どのように実現するのかは業者に任せておけばよい。

 実際は任せ切りにしていると、とてつもなく高価な最新のデータベース・システムを意味もなく買わされたり、逆に、遅くて使い物にならないプログラムを作られることも少なくない。そういったことを避ける意味でも、要件を満足する出力を得るために必要十分な速度、対象となるデータ量利用者数(同時、最大)などを、あらかじめ想定して仕様書に明記しておくべきである。

 次に、IEEE(米国電気電子学会)による、質の高い要求仕様書の基準を掲載しておく ので参考にされたい。

IEEE 830 Documentation Standard for a Software Requirements Specification
 ・不明瞭でないこと
  いずれの記述にも、その解釈は1つしかないこと。
  用語が明確で、適切に定義されていること。
 ・完全であること
  重要な要求仕様が全て含まれていること。
  いずれの項目も、その定義を後回しにしない。
 ・検証できること
  プロジェクトの一部として指定された機能すべてに対し、これらが適切に提供され
  たか、どうかを判断するためのテストが用意されていること。
 ・首尾一貫していること
  特に、矛盾する用語、相反する必須処理、そして実行不可能な組合わせがないこと。
 ・修正作業が容易であること
  重複部分がなく、索引や内容が正しいこと
 ・出所が明確であること
  参照される要求仕様すべてが一意的に確認できること
  上位文書から下位文書まで要求事項が一意的にトレースできること。
 ・正確であること
  記述された要求仕様すべてが、構築されるシステムに何らかの形で必要なものを示し
  ていること。これは、当然のことのように思えるかもしれないが、関係のない要求仕
  様や全く別のシステムに関する要求仕様が含まれてしまうことが驚くほど容易に発生
  する。

 例えば、「本アプリケーションは非常に高速かつパワフルでなくてはならない」と記述された、この要求仕様の「高速」や「パワフル」は非常に主観的な言葉であり、システムがこの要求仕様を満たすかどうかは検証できないため不十分である。  

 そして、作成した要求仕様書はドキュメントレビューを行い、さまざまな観点からリスクを洗い出し、後工程での手戻りや運用段階での事故を防止することが重要です。要求仕様書のドキュメントレビューを行わずに次工程に進むのは、羅針盤なしで荒海に乗り出すようなものです。

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