一見、遠回りなようで、実は、そのほうが近い「急がば回れ！

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●企業システム戦略　孫子の兵法　軍争篇　その１
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「およそ用兵の法は、将、命を君より受け、軍を合し衆を聚め、交和して舎す。軍争より難きはなし。

軍争の難きは、迂をもって直となし、患をもって利となすにあり。

故にその途を迂にしてこれを誘うに利をもってし、人に後れて発して人に先んじて至る。これ迂直（うちょく）の計を知る者なり。」

ほとんどの戦争というのは、将軍が、君主より命を受け軍を編成して、敵と交戦し和解する。軍争ほど難しいものはなし。

軍争の難しいところは、遠回りを近道としたり、不利を有利に転じたりすることである。

故に、わざと遠回りをして、敵が有利に思うように誘いをかけ、敵の後から出発して先に到着する。これが”迂直の計”を知る者である。

一見、遠回りなようで、実は、そのほうが近いということは、よくあるものです。遠回りをすれば不利に思えますが、これを有利にかえる。

それが、”迂直の計”です。

孫子は、直球勝負はしません。いつも、変化球で攻めることを推奨します。考え方によっては、目先の利に飛びつかず、地道に愚直にいきましょうとも言えます。

例えば、社員の働きを収益に直結する成果主義より、チームワーク醸成や人材育成のほうがが遠回りなようで、結局、組織を元気にして良い結果を生むということ。

あるいは、値上げや品質を落として利幅を稼ぐより、地道な原価低減と品質向上でリピータを捕まえること。

いろいろな分野の有識者が、言い方は違えても、”迂直の計”と同じような趣旨のことを言っています。
これからは、心の時代と言う人もいます。

癒し系がトレンドです。

これまで、利益を上げるために最短距離を一直線に走って来た、米国発の経営手法に歪が出てきたのでしょうか。

ものつくりの世界、ソフトの世界では、共通化・標準化・部品化という考え方があります。これも、なかなか進まない背景には、短期開発の流れがあるように思います。

要求されたものを最短で開発して提供しなければ、競争に負けてしまうという強迫観念。個々の要求に対して、直接必要な機能以外は、余分なコスト増になるという勘違い。

確かに、全体や将来の拡張性までを俯瞰して、共通化・標準化を図り、再利用可能な部品に仕上げるのは、一手間かかります。しかし、そのほうが結果的に開発期間もコストも低減でき、さらに品質まで安定するのです。

もうひとつは、レビューです。

これも、レビューをしている時間があったら、一行でもコードを書いていたい、コードを書いていさえすれば、仕事が進んでいるという大きな勘違い。

遠回りなようでも、上流でしっかりとレビューし、リスクを洗い出し潰しておくことで、結果的に早くゴールへ到達できるのです。

ただし、共通化・標準化も、レビューも、後から出発して先に到着するには、そのためのコツがあります。特にレビューなどは、ややもすると、やるだけ時間のムダと思えるような結果になります。

レビューを”迂直の計”にするためにも、『ダメ！レビューに良くある５つの勘違いと解決策』を一読下さい。