変化に適応しやすいアーキテクチャ

五輪書

VUCAの時代、変化に適応できなければ生き残ることが難しくなっています。では、変化に適応しやすいアーキテクチャとはどのように考えればよいでしょうか。剣豪「宮本武蔵」は五輪書の中で、有構無構(構えがあって、構えがない)という考え方を説いています。

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五輪書 水之巻 有構無構と云事
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 「有構無構(構えがあって、構えがない)というのは、
  太刀を構えているようで、構えていないことである。


  されども、太刀を五方(上中下左右)に置くことは、
  構えることでもある。

  太刀は、敵の出方や状況によって、いずれの方に置いても、
  敵を斬りよいように持つ心であること。

  上段も、時により、少し下げれば中段、
  中段も利により少し上げれば上段になる

  下段から中段、左右から中段下段へと、
  このように構えはあって、構えはないというようなことになる。

  まず、太刀をとったならば、いずれにしろ敵を斬る心であること。

  もし、敵の太刀を受ける、はる、あたる、ねばる、さわるなどしても、
  すべて敵を斬るためと心得ること。

  受ける、はる、あたる、ねばる、さわるなどと思うのでは、
  敵を斬ることはできない。

  大軍での戦いにしても、兵の配置は構えであり、
  これ全て合戦に勝つためである。

  居着く(型にとらわれる、固執する)ということは、
  悪しきことである。」


  ここでは、「構え」に対する考え方を具体的に書いています。

  「構えあって、構えなし」ということは、結局、最後の一行にある
  「居着くことは悪しきこと」を「構え」に対して表現したものです。

  構えに色々あっても、いずれの構えにも囚われることなく
  状況に応じて、変幻自在でなければならないということです。

  そして、その目的は、あくまで斬ること、勝つことです。
  
  受ける、はる、あたる、ねばる、さわるなどに気を取られて
  本来の目的(斬ること)を忘れるようでは、斬ることはできません。

  企業システムの構造は、企業の「構え」そのものです。
  例えば、企業理念、組織構造や業務プロセス、工場や設備の配置など。

  これらは、いずれも企業の存在価値を示し、事業継続することが目的であり、それ自体に居着くことは悪しきことなのです。

 最近は、経営改革、組織改革、業務改革と、様々に「構え」を変える企業が多いのですが、改革プロジェクトが組織化され、各論に進むにつれて、「構え」をどうするか自体に喧々諤々していることが少なくないようです。

  そして、最終的には、ITを導入して、xxシステムを構築することになるのですが、画面や帳票の仕様決定段階に至っては、ほとんど趣味としか思えないような内容が沢山盛り込まれます。

  そのシステムが完成した暁には、今度は、業務プロセスや組織構造がシステムに拘束され、自由が利かなくなります。

  斬るための「構え」が、逆に、斬ることを妨げてしまい本末転倒です。

  そのようなことにならないように、EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)という手法が提唱されています。

  これは、企業システムの基本構造を、業務プロセス・データ定義・適用業務システム・情報技術基盤の4階層に分けてトップダウンで設計し、柔軟性と堅牢性を高めることを目的としたものです。
  
  そして、その実装技術として、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)SOA(サービス指向アーキテクチャ)があります。

  これらは、市場やビジネスモデルの変化に即応して、柔軟に、業務プロセスを適合させていくために、その都度、システムを再構築(廃棄&新築)するのでなく、少しの動きで企業システム(=構え)を変化させて適合させていくことを目的とした企業システム基盤技術です。

  まさしく
  「上段も、時により、少し下げれば中段
   中段も利により少し上げれば上段になる。
   下段から中段、左右から中段下段へと
   このように構えはあって、構えはない
  というようなものです。

  かつてのERPのように頑丈な一枚岩的システム(構え)ではなく、様々なシステムを柔らかくつないだ、アメーバのようなシステムが良いのだと思います。
  
  そして、この考え方は、組織構造や業務プロセス、工場や設備の配置など、あらゆる企業システム(構え)に応用できます。

  トヨタ生産方式やセル生産で、根の生えた巨大な機械設備を使わず、小回りが利く小型の機械設備を使うのも同じ発想です。

  また、標準作業を決め、それを徹底して守ることを求める一方で、常に、その標準作業を改善して変えていく。

  「組織能力成熟度:CMMI」で言えば、
  ・プロセスの標準が決まっているのがレベル3
  ・標準に従って科学的にデータ分析・問題解決できるのがレベル4
  ・問題の真因を探り、プロセスを改善し標準を改訂できるのがレベル5


  レベル5は、まさに「有構無構(構えがあって、構えがない)」状態、そして改善が目的ではなく、あくまでコストを斬り(コストカット)、勝つためなのです。

  武蔵の徹底した実利主義勝利への執念といった姿勢と、トヨタの改善、コストカット(原価削減)に対する姿勢とは、なにかしら合い通ずるものがありますね。





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