心技体の総合力を持って、はじめて課題を制圧できる

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●企業システム戦略　五輪書　火之巻　剣を踏むという事
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「剣を踏むというのは、いわゆる兵法における意味である。

まず、集団での戦いでは、敵が弓や鉄砲で攻撃してくる時、その後に、こちらが反撃しようとすると、敵はさらに、弓をつがい鉄砲に弾をこめて攻撃してくるので、いっこうに、こちらは攻め込むことができない。

そうではなく、敵が弓や鉄砲を発射している内、次の準備が整わぬ間に、素早く攻撃するという意味である。

早く攻撃すれば、敵は矢も鉄砲も発射の準備をする余裕が無く、何もできないからである。

敵がどのような攻撃を仕かけてきても、そのままその利を得て、敵の成す事を踏みつけて（無効化して）勝つということである。

また、一人対一人も、敵の攻撃する太刀の後から打ち返しても、”とたん、とたん”となって、うまく行かない。

敵の打つ太刀を足で踏みつける心持ちで、敵が打ち出るところを打ち、敵が二度目を打てないようにするのである。

”踏む”というのは、足だけのことではない。

体でも踏み、心でも踏み、もちろん太刀でも踏みつけて、敵が二度と攻撃できなくなるようにするのである。

これがすなわち、ものごとの”先（せん）”である。

敵の仕掛けと同時にぶつかるのではなく、直ぐ後にとりつくような感覚である。」

相手が攻撃してくるのを一旦、受けてから後に反撃に転ずるのではなく、相手の攻撃が止まないうちに一気に前に出て、突破するという激しい戦法です。

確かに相手の攻撃を一旦受けてから後に反撃しようと思っていると後手に回って、そのまま叩き潰されるということも少なくありませんから。

ただし、このような戦法が通用するのは、互角か、自軍のほうが優勢な場合だと思います。

小が大に立ち向かうには、やや無理な戦法です。

ですから、激突する前には相手の力と自分の力を十分に見極めておく必要があります。

その上で、相手が攻撃を仕掛けてきたら、それに怯むことなくこちらからも打って出て、一気に形勢を逆転してしまうというのが”剣を踏む”という意味なのでしょう。

そして、”戦闘力”は、単に足だけでなく、体や心についてもしっかりと計っておく必要があります。

心技体の総合力を持って、はじめて相手（課題）を制圧できるのです。

道具や人員ばかりが巨大でも、精神的に虚弱な組織ではダメ。企業システムとしてのシステム力とでも言いましょうか。

システム＝人＋もの＋金＋組織＋業務＋情報

そして、このシステムを強化するための道具がＩＴです。

これまで１０人でやっていた仕事が、急な業績拡大が見込まれて一気に１０倍の１００人分の仕事に急増しそうな時に、すばやくＩＴを活用して、柔軟に対応しなければなりません。

仕事が急増して、人手が足りなくなり混乱が生じてから後に、ＩＴ化で効率化を図るというような発想では後手です。

”ものごとの先（せん）”とは、ものごとの先を読むことであり、先を読み、先手を取ることで”剣を踏む”ことができ、勝つことができるのです。

先（せん）をとるかどうかで、同じ”ＩＴ化による効率化”でも、雲泥の差ですね。

ＩＴ投資で、どれだけ効率化＝何人削減できるかという発想では、先を読んで”剣を踏む”ことはできません。

なぜなら、削減効果ではなく、抑止効果を狙った先行投資だからです。

このように、ＩＴを活用して”剣を踏む”ことができている企業システムが、勝ち組となっているようです。