煮詰まったら思い切って手段を変えてみる

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●企業システム戦略　五輪書　火之巻　四手を放すという事
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「四手を放すとは、敵も自分も同じ気持ちになって、張り合う状態になったならば、すぐさまこの気持を捨て去って、別の有利な手段で勝つことをいう。

集団戦においても、四手の心に留まっていてはうまくいかず兵を失うことになる。

早くその気持を捨てて、敵の予想もしない手段で勝つこと、これが第一に重要。

一人対一人の場合でも、四手になったならば、ただちに心を変えて、敵の態勢を把握し、様々に違う別の手段を使って勝つ、これが肝要である。」

考えが煮詰まって、進退極まった状態に陥った時には、潔く、指向を変えてみるのが良いというわけですね。

しかし、なかなかこれは言うほど簡単ではありません。

それまでに費やしてきた努力を考えると、どうしてもスッパリとは捨てきれないのが人情です。

そこを、あえて心を開放できるような自由な発想ができる人は、強いです。

武蔵は、「居着く」こと、「留まる」ことを嫌い、戒めています。

特に、集団戦で組織を預かるものが、自分の考えに固執して組織を破滅に向かわせるような愚考はいただけません。

システム構築の現場でも、このような均衡状態になることは、少なくありません。

システムは、多くの利害関係者が関与し、コスト・納期・品質の制約もあります。

このような中で、要件定義を行う段階で、様々な軋轢が生まれます。

この時に、いつまでも一つの考えに固執していては、時間が無駄に過ぎていくだけです。

プロジェクト・リーダは、柔軟な思考を持って、このような均衡を打破し、利害関係者を成功に導かなければなりません。

過去のルールや組織、規範などに囚われずに、それらを捨ててみることです。

一切を捨てたところからスタートしてみると、意外な道が開けてくるものです。

「身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ」とは、武士道にある言葉です。

過去を捨てられないのは、捨てることによって”何かを失う”という不安があるからです。

その”何か”とは、なんですか？

そんなことに固執するより、本来の目的である「勝ち」に固執するならそのために、なんでも捨てられるとは思いませんか。

プロジェクトは、完了することが、勝つことであり、自分の考えを押し通すことが勝つことではありません。

それでも、捨てられないのであれば、「負け」に対する危機感がまだまだ、足りないのかもしれませんね。

「負け」＝「破滅」という危機感が無ければ、何かを捨てるという危険を冒すようなことはしたくないですからね。

武蔵は、とにかく”勝つ”ことに徹底的に固執した人ですから、勝つためには、何でもやる、形に拘らない、そんな中から常識外れな、二刀流も生まれたものと思います。

私たちも「勝ち」に拘り、柔軟な思考で、企業システム戦略における、自分だけの二刀流を編み出しましょう。