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●企業システム戦略　五輪書　火之巻　景気を知るという事━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「景気を見るというのは、集団戦において敵の勢いの波を知り、その意図を察知し、その場の位（位置付け、位取り）に応じ、敵の景気（状態）を十分見分け、自軍をどう仕懸けるか、この兵法の真理で確実に勝つというところを会得して、先手をとるところの機敏を知って戦うことである。

また単独での戦闘において、敵の流派を知り、その性格を見て取り、強いところ弱いところを見つけ、敵にとって思わぬところで仕かけ、敵の調子のめりかり（メリハリ）を知り、その間の拍子を知って、先手を取ることが重要である。

いずれにしても景気というのは、自分の智力が強ければ、必ず見えるものである。

兵法が自由自在に扱えるようになると、敵の心をよく計量して勝つ方法が多くなるのである。」

景気を知るのは重要ですが、なかなか難しいものです。武蔵は、自分の智力が強ければ、必ず見えるといいますが、智力だけではなく、情報収集・分析力や洞察力なども必要だと思います。

確かに、「景気」を完全に読みきることが出来れば、百戦百勝ですよね。

経営者の中には、「景気」を読みために占いまで使っている人もいると聞いたことがあります。

中国で「占い」が発達したのも、戦国時代を生き抜くため武将たちが戦況を読むためでもありました。

近年の企業システムに目を向けると「景気」を読むために脚光を浴びだしているのが、ビジネスインテリジェンスです。

ビジネスインテリジェンスは、そのような名前のツールもありますが何も高額なツールでなくても、Ｅｘｃｅｌを使用しても良いのです。

要点は、過去のデータを整理して、それに予測値を加えることで将来の「景気」＝「トレンド」を読むことです。

ＳＣＭやＣＲＭなどでも、先を読むことが重要視されてきています。

そして、「敵の流派を知りその性格を見て取り、強いところ弱いところを見つけ」というのは、今で言う*「ＳＷＯＴ」分析ですね。
*強み(Strong),弱み(Weakness),機会(Opportunity),脅威(Threat)

自社の強み・弱み・機会・脅威を分析して、強みを機会に活かすことで新たな戦略を考えたり、脅威に備えて弱みを補強しておく戦術を考えたりします。この時の「強み・弱み」「機会・脅威」を知ることが「景気」を知るということです。

ＩＴ経営とかＩＴ戦略とか言うのは、高価なサーバやソフトを導入することではなく、この「景気を知る」ということなんです。

その意味で、武蔵は、この時代にすでに「ＩＴの達人」だったのかもしれませんね。