組織の気力、心、能力、柔軟性を制するにはどうすればいいか

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　●企業システム戦略　孫子の兵法　軍争篇　その５
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「是の故に朝の気は鋭、昼の気は惰、暮れの気は帰。故に善く兵を用うる者は、其の鋭気を避けて其の惰帰を撃つ。此れ気を治むる者なり。

治を以て乱を待ち、静を以て譁を待つ。此れ心を治むる者なり。

近きを以て遠きを待ち、佚を以て労を待ち、飽を以て飢を待つ。此れ力を治むる者なり。

正々の旗を邀うること無く、堂々の陳を撃つこと勿し。此れ変を治むる者なり。」

朝の気力は鋭く、昼の気力は惰性、暮の気カは失われる。戦い上手は、鋭気がある時を避け、気力の衰えた時を攻撃する。それが気カを治める者である。

治を以って相手の混乱を待ち、静を以て相手の騒動を待つ。それが心を治める者である。

戦場の近くで、相手が遠くから来るのを待ち、安楽にして相手の疲労を待ち、満腹にて飢えを待つ。これが力を治める者である。

正々とした旗に挑むことなく、堂々とした陣は攻撃しない。それが変化を治める者である。

組織の気力（士気）、心（気持ち）、能力、柔軟性を制するには、どうすればいいか。

気の満ちている朝方は避けて、気の衰える夕方を狙う。例えば、会議や調整会など、午前と午後、どちらを選ぶかによって、成否が影響を受けます。

相手が気力に満ちた朝方に、不十分な準備で臨めば返り討ちですよね。

でも、午後の会議は眠くなるものです。説明を受ける側なら、避けたいところです。

他についても同様に、正面衝突は避けるというのが基本的な考え方です。

つまり、ここでも”戦わずして勝つ”や”勝つべくして、勝つ”というように勝てるような状況においてこそ、勝てるのだという哲学です。徹底したリスク回避。

何が何でも勝つためには、正面突破とかの形には拘らないで、徹底して虚を突くという考えです。

”正々とした旗に挑むことなく、堂々とした陣は攻撃しない。”というにいたっては、ちょっと卑怯な感じまで受けますね。

でも、勝つためには。国家の一大事であり、勝たなければいけないのなら。それが、柔軟性だと考えるのが孫子の兵法です。

　
目的は、勝つことであり、勝ち方の美醜は二の次です。

中国人と日本人の気質の違いなのでしょうか。例えば、システム構築における画面や帳票なども、本来的な目的とは関係ないところで、見栄えや使い勝手にこだわり、コストや工期を必要以上に圧迫していませんか。

オフショア開発失敗の一因も、こんなところにあるのかもしれませんよ。

そいうところを指摘すると、”美しくスマートな画面でないと、本来的なビジネス上の成果さえ危ぶまれる！”ような勢いで、必要性を説く人がいます。

その割には、定量的なビジネス上の成果は不透明です。

これでは、ＩＴ投資で勝てるわけがありません。投資額ばかり嵩んで、収益貢献は闇の中ですから。

ポケットマネーでは、近所に買い物に行くのにベンツを買うような人はいないのに、なぜ、会社のお金でＩＴ投資となると、それに類似したようなことを要求してしまうのでしょう。

まさに、”正々とした旗に挑み、堂々とした陣に突っ込む。”が如く、柔軟性に欠けていませんか。

”現場が使い難いと言うから。”ではなく、目的（大義名分）を示し、お金はかけられないけどがんばって使いこなして、変革しよう！と現場を治めなければいけないところです。（トップがですよ。）　お金は出さずに知恵を出す！

担当レベルだけで、わざわざ遠回りをして、疲弊して、飢えて、システムを作るだけで精一杯。

そこまでして作り込んでも、結局、使われないか、期待したほど効果（収益貢献）が得られないか。

もっとも、ＩＴだけでなく、設備や工場も似たようなところありますね。

時世柄、ここらで真の目的達成に直結する点に的を絞り、できるだけ投資しないで成果を得られるようなことを”形振りかまわず”柔軟に考えていくべきなのでしょうね。

例えば、評価版やオープンソース、仮想化の活用で、必要以上に絢爛豪華や新しいものを求めず、基本機能だけを徹底的に使い倒すことを考えるとか。

設備や工場も、基本機能を果たすに必要最低限の修繕をして徹底的に使い倒すとか。

目的は、勝つことであり、勝ち方の美醜は二の次。柔軟に考えていきましょう。