組織を一体化して動かすには、適時適切なコミュニケーション・ツールが重要

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●企業システム戦略　孫子の兵法　軍争篇その４
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「軍政に曰わく、”言うとも相い聞えず、故に鼓鐸を為る。視すとも相い見えず、故に旌旗を為る”と。夫れ金鼓・旌旗なる者は人の耳目を一にする所以なり。

人既に専一なれば、則ち勇者も独り進むことを得ず、怯者も独り退くことを得ず。紛々紜々、闘乱して見るべからず、渾渾沌沌、形円くてして敗るべからず。此れ衆を用うるの法なり。

故に夜戦に火鼓多く昼戦に旌旗多きは、人の耳目を変うる所以なり。故に三軍には気を奪うべく、将軍には心を奪うべし。」

兵法書がいうには、、”言っても聞えないので太鼓などを備え、示しても見えないので旗などを備える”と。つまり、太鼓や旗は、兵たちの耳目（意識）を統一するためにある。

兵が統一されていれば、勇者も独り進むことはできず、怯者も独り退くことはできない。

乱戦状態になっても乱されず、混沌としても敗れてはならない。これが兵を用いる方法である。

故に、夜戦は火や太鼓を多く、昼戦には旗幟を多く使うのは、兵たちの耳目を変えさせるためである。

故に、全軍の気力を奪うべし、将軍の心を奪うべし。

多くの要員を統率して、ベクトル合わせをするには、鳴り物や旗印など、わかりやすい道具を使うことがポイントですね。

全員のベクトルが一致し、目的に一丸となって専念すれば、独りが勝手に突っ走ったり、立ち止まったり、逃げたりして士気をそぐような行動を抑止できます。

そのような動きを抑止できないと、ベクトルは、すぐに分散し、各自が勝手なことをやりだします。

企業システムの運営でも、情報システム構築でも同じ光景が見受けられますね。

トヨタ生産方式で有名な、”あんどん”や”かんばん”など、目で見て、誰もが、何をすればよいかわかりやすいという道具も同じ効果を狙ってのことだと思います。

トップや管理者が、いくら口をすっぱくしてビジョンやミッションを述べ立てても、現場の各人が、どうすればよいか、すぐにわかるような道具立てが必要です。

さしずめ、ＩＴツールということであれば、グループウェア、ポータルやブログ、社内SNSなど。

こういったコミュニケーション・ツールを駆使して、混乱や混沌を避け、統制を図っていくのが、プロジェクトやシステムをうまく運営していく方法ということ。

夜には、よく見える火や闇でも聞こえる太鼓。昼には、旗印など、状況に応じて使い分けが必要です。

プロジェクトの立ち上がりは、プロジェクト憲章。実行段階では、計画書や要件定義書。トラブル発生時には、トラブル報告書。（ドキュメントは、重要なコミュニケーション・ツールです。）

それぞれの状況に応じて。

そして、コミュニケーション・ツールを適切に使用することで、組織のモチベーション・アップや、リーダの心を奮起するのです。

コミュニケーションというのは、一度では、不十分です。

常に、次から次へと連続して数多く行うことで、組織内に浸透していくものなのです。

プロジェクト憲章や計画書を、メンバにメール配信したからといって、全員がプロジェクトの目的を理解して行動できるわけではありません。

ほっておけば、あっという間に、目的外の要求機能が膨張し、プログラマは、勝手な処理を実装したり、技術的趣味に走りだします。そうかと思えば、必要な機能を漏らしていたり。

常に旗印となるものは、いつでも、誰でも、見えるところに掲示し、段を重ねるごとに、レビュー等で利害関係者で読み返して、成果物が目的に対し、一貫性・追跡性を確保されているか確認することです。

そうです、ソース・コード一行に至るまで、目的に対し一貫性・追跡性が不明なものはムダなコードである可能性があります。

あなたのシステムにおいて、そのような出所不明なコードは一行も無い、全て目的の実現に寄与しているのだと、自信を持って言い切れますか？

中間段階の成果物を、一切、レビューすることなく。。。

あるいは、あなたの会社の社員の手指の動き一つ一つが、１台の設備が、部材や商品の１ピースが、会社の収益確保にベクトルをあわせて統率され、貢献していると自信を持って言えるでしょうか？

適切な種類と数のコミュニケーション・ツールもなく、コミュニケーションの回数も、年１回の訓示だけで。。。

コミュニケーションへのお金と時間を投資することを惜しまないことです。