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企業システム戦略|孫子の兵法「九地篇」その2
「古えの善く兵を用うる昔は、能く敵人をして前後相い及ばず、衆寡相い侍まず、貴賎相い救わず、上下相い扶けず、卒離れて集まらず、兵合して斉わざらしむ。利に合えば而ち動き、利に合わざれば而ち止まる。 」
昔の善く兵を用いる人は、敵の前後を分断し、大隊と小隊の連携を断ち、身分の違う者や上下の者が
互いに助け合わないようにし、兵が離散して集まらず、合してもうまくいかないようにする。
有利であれば動き、有利でなければ止まる。
孫子「九地篇」が示す“組織分断”の本質
航空宇宙・産業機械メーカーのDX推進では、組織の“つながり”が成果を左右します。孫子の兵法「九地篇」は、敵の組織を分断する戦略を説いていますが、これは現代の製造業における組織マネジメントにも通じます。まずは孫子が語る「分断の構造」を理解するところから始めましょう。
「古えの善く兵を用うる昔は、能く敵人をして前後相い及ばず…
利に合えば而ち動き、利に合わざれば而ち止まる。」
昔の善く兵を用いる者は、敵の前後を分断し、大隊と小隊の連携を断ち、
身分や上下関係による助け合いを阻害し、兵が離散して集まらない状況をつくる。
そして、有利であれば動き、不利であれば動かない。
孫子のポイントは、戦う前に相手の組織行動を乱し、有利な状況を作ることにあります。
製造業DXにおける組織化(チームビルディング)の重要性
DX推進や大規模システム導入では、技術よりも“組織化”が成功の鍵を握ります。特に製造業では、部門横断の連携が弱いとプロジェクトは必ず停滞します。孫子の逆を行い、組織を強く結びつけるには何が必要なのでしょうか。
組織化はリーダーの最重要任務です。
組織化できていないプロジェクトをコントロールすることは極めて困難です。
PMBOKに「組織マネジメント」「コミュニケーションマネジメント」があるのも、
組織化とコミュニケーションが密接に結びついているからです。
孫子が示す「組織化させない方法」は、
一言で言えば “コミュニケーションの分断” です。
航空宇宙・産業機械メーカーで起こる典型的な分断
製造業の現場では、部門間の分断が日常的に発生します。DX推進が進まない理由の多くは、この“前後の分断”に起因します。具体的にどのような分断が起きているのか整理してみましょう。
- 営業と開発
- 設計と製造
- 営業とサービス部門
システム開発ではさらに顕著で、
顧客・ユーザと要件定義チーム、設計・実装チームの分断が起こりやすい。
要件定義には曖昧さが含まれ、それがドキュメントに内在するリスクとなるためです。
小隊(要件定義)と大隊(設計・製造)のギャップ
要件定義は少人数で行われ、設計・製造は大人数で進みます。この“規模の差”が、情報伝達の質を大きく左右します。小隊と大隊のギャップを理解することは、DXプロジェクトの成功に不可欠です。
小隊は暗黙知が共有されやすく、
「書かなくても分かるだろう」という思い込みが生まれます。
しかし、大隊に仕事を展開する手段は ドキュメントのみ。
小隊では問題にならない曖昧さが、
大隊では致命的な誤解として顕在化します。
リスクを見える化しないまま後工程へ渡す危険性
要件定義書の曖昧さや抜け漏れを放置したまま後工程へ渡すと、プロジェクトは必ず混乱します。製造業DXで頻発する“後工程の手戻り”は、ほぼすべてこの構造で説明できます。
- プログラマが要件定義書を信用できず再問い合わせ
- そこで初めて要件矛盾が発覚し変更要求が発生
- 変更要求がさらに混乱を招く
こうして、
トップの意図と現場の理解が乖離し、要件が捻じ曲がっていくのです。
組織の“つながり”が失われるプロセス
組織の分断は突然起こるのではなく、徐々に進行します。DX推進が失敗する組織では、この“つながりの喪失”が静かに進んでいます。
スケジュール遅延・コスト増加が発生すると、
上司と部下の間にも軋轢が生まれ、組織の“つながり”は失われていきます。
各自がバラバラに判断し、個人最適で動くようになります。
サッカーに学ぶ「パスがつながらない組織」の特徴
複雑なDXプロジェクトを理解するには、サッカーの比喩が非常に有効です。パスがつながらないチームは勝てません。要件定義書という“ボール”を共有できない組織も同じです。
要件定義書という“ボール”を共有できていないため、
チームとして機能しません。
要件定義書は組織の“つながり”をつくる中心
要件定義書は単なる文書ではなく、組織の認識を統一する“中心軸”です。ドキュメントを軽視する組織は、必ずコミュニケーション障害を起こします。
- ドキュメントが主
- 口頭説明は従
書かれていないことは「言った言わない」のリスクになります。
ソースコードも同じで、
書かれていないことは一切実行されません。
ドキュメントレビューの本質とDX時代の必須スキル
DX時代の製造業において、ドキュメントレビューは“品質の源泉”です。レビューの目的は、誤りを見つけるだけではありません。最大の価値は“書かれていないリスク”を発見することにあります。
- 書かれている内容の問題点を発見する
- 書かれていないことによるリスクを発見する
リスクを明文化し、ドキュメントに反映することで、
コミュニケーションを良好に保ち、組織化を促進できます。
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