複雑で多様化するニーズには、シンプルな基本要素の組み合わせで対処する

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●企業システム戦略　孫子の兵法　兵勢篇　その６
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声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴くべからず。
色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観るべからず。
味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗むべからず。

戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからず。

奇正の相生ずることは、循環の端なきが如し。孰れか能くこれを窮めんや。

音は五つに過ぎないが、その五音の変化はとても聞き分けられない。
色は五色に過ぎないが、その五色の変化はとても見極められない。
味は五つに過ぎないが、その五味の変化はとても味わい尽くせない。

戦いは奇策と正策に過ぎないが、奇正の変化はとても窮められない。

奇策と正策が互いに生まれでてくるありさまは、循環の端が無い様なものだ。だれがこれを窮められるものか。

色や光の三原色も同じ。

音や色や味になぞらえて、基本の組み合わせで、どのようにも変化させることができ、それらは簡単に見極めることができないということです。

同じように戦いの勢いも、基本は奇策と正策の２つしかないが、これが変化することで、見極めることが難しいということです。

循環の終わりがなく、奇策と正策が相互に生まれてくるようすは、誰にも見極めることなどできないのです。

ここでも、やはり常に変化することの重要性を説いています。

しかし、変化するといってもですね。

基本がしっかりしていれば、その少ない基本要素を組み合わせ、変化させることで、多様性が生まれ、
簡単には見極めが難しくなるということです。

逆に言えば、どんなに多様性を持ったシステムや事象も、本質を見極めれば、基本要素は多くはないということです。

ポイントは、数少ない基本要素を、如何に組み合わせ多様化させるかというところだと思います。

このような考え方は、モジュラーデザインとマス・カスタマイゼーションと言われています。

基本要素は、標準化・共通化して少ない種類に決めておき、それらの組み合わせで、多様化する顧客ニーズに対応していくというシステムです。

その最たるものがコンピュータであり、ソフトウェアですね。オン／オフの２進法によって、無限の用途に対応します。

人類が生み出した最も単純で、最も複雑なもの。。。

情報処理の基本要素は、入力・処理・出力です。実は、すべての業務プロセスは、この組み合わせです。

”ものつくり”さえも、入力・処理・出力だといいます。

設計情報を入力し、板金という媒体に転写し、製品を出力する。というわけです。

ですから、この基本要素（入力・処理・出力）を押さえておけば、様々に業務プロセスを変化させることができるわけです。

複雑な入力・処理・出力を分解し、見える化するのが、、ビジネス・モデルやデータ・フロー、データモデルになります。

このような道具を使って、基本要素を見える化し、整理することで新しい変化のアイデアを出しやすくすることができます。

現場改善の世界では、”工程バラシ”と呼ばれています。

このように新しい変化を生み出すためには、現状を基本要素まで分解・整理して、組み換えてみるとよいでしょう。

企業システムなら１組織１機能、情報システムなら１モジュール１機能というように、これら基本要素をできるだけシンプルかつ基本的なものに限定しておくことで、様々に変化させやすくなるのです。