ひとつのシステムだけで企業システムを構成することはできません。世の中にある様々なシステムや自社で開発したシステムを適材適所に組み合わせて企業システムを構成するには、それぞれのシステムの特徴を押さえて、その特徴に応じた役割を配分することが重要です。
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五輪書 地之巻 大工にたとへたる事 木くばり
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「家をたてるには、『木くばり』をする。
まっすぐで節も無く、見かけも良い材木は、表の柱とし、
少しは節があっても、まっすぐで強いのは裏の柱とし、
多少は弱くても、節が無く美しいのを敷居、戸、障子などに
それぞれ使い、節があってゆがんでいても強い木は、
その家の各強度を見分け、よく吟味して使用するならば、
その家は長持ちするであろう。
また、材木の中でも、節が多く、ゆがんで、弱いのは、
足場にでも使い、あとで薪にでも使うのがよいのである。」
なるほど、「木くばり」は「気くばり」なんですね。
武蔵が言う「木くばり」を、企業システム戦略の面から考えるとどうなるでしょう。
まず、「木くばり」というのは、処理(配置を考えること)です。
そのための入力は?
ひとつは、これから建てようとする家=企業システムの構想ですね。
「構想」と一口に言っても、家に住む人の生活信条や予算、デザインの好み、耐久性、環境など様々な情報が入力になります。
もうひとつは、様々な木=システム(あるいはソリューション)の特徴ですね。
このふたつの入力を総合的に判断して、「木くばり」という処理をすることになります。
それでは、出力は?
木材=システムの適材適所な「配置」ということになりますね。良い「木くばり」がされた家は長持ちする。
つまり、企業システムが長期存続できるというわけですから、企業システム戦略を考えるに当たっても、大切なことです。
まず、入力として、企業のビジョンやミッション、戦略が明確になっていること。そして、人・物・金といった経営資源の個々の特徴を十分把握していること。
この二つの2入力の因果関係を明確にした上で、適材適所な配置を考えること。
あなたの会社のさまざまなシステム、建物の構造や部署の配置、設備配置、工場レイアウト、予算配分などの基本アーキテクチャが、何故、そうなっているのか、戦略に照らして、因果関係を明確に答えられますか?
さらに言えば、この配置の結果を常にモニタリングしていて、適材適所となるように、フィードバックをかけて、配置を柔軟に変更できること。
戦略や外部環境の変化に合わせて、配置を柔軟に変更できること。
需要変動や設備の故障など、内外のノイズに対して、安定した経営が継続できるように、ロバストに配置されていること。
例えば、ボトルネックになるような重要な設備が、1台しか無いというのは、ノイズに対して非常にリスクが高い状態です。
このようなことを、経営者が、全てを把握していて、トップダウンで動けるような企業システムであれば、経営者が「木くばり」に手腕を発揮すればよいかもしれません。
経営者のIS(情報戦略)、IT(情報戦術)スキルやリテラシに強依存した企業システムです。
(考えようによっては、最もハイリスクな企業システムです。経営者が、ボトルネックになる可能性があり、病気や事故などのノイズにさらされると、その企業システムは極めて不安定になります。)
しかし、少し組織規模が大きく、集合体としての企業システムの場合、うまい「木くばり」をするには、情報設備=システムが必要です。
・企業のビジョンやミッション、戦略を全社員に周知するための設備。
・人物金といった経営資源の特性を十分把握するための設備。
・これらを総合的に判断して適材適所な配置をするための支援設備。
・配置の結果をモニタリングして、フィードバックするための設備。
・再配置・変更を柔軟かつ、スピーディに検討するための支援設備。
・ノイズをモニタリングし、ロバストな配置を検討するための設備。
いかがですか、これらを一覧表、配置表、稼動状況報告書などといった旧式の情報設備で遂行するか、もう少し高度な情報設備を導入するかは、それぞれの企業システム戦略によります。
あなたの会社は、1000万円あったら機械設備と情報設備と、どちらに投資する企業システム戦略ですか。
これも「木くばり」です。(資金をどのように配分するか)
ただ、巨大設備(大鑑巨砲)に傾注して、情報設備への投資を怠り、最後は竹やり武装なんてのは避けたいところです。
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