◆システムの投資回収を早くする開発方法とは?

企業システム戦略

◆マルチタスクより、シングルタスクで投資を早く、確実に順次回収せよ
 さて、優先順位をつけた各案件を、どのように開発していくのが効率的であるか。ここに、開発規模が5人で6ヶ月かかる案件が2つあったとしよう。プロジェクトリーダが二人、開発要員が10人いた場合、あなたなら、どうするか。それぞれの案件を、プロジェクトリーダに割り当て、開発要員を5人ずつにして、2案件を並行してマルチタスクとして開発するか。

 その場合、各システムが効果を生み、投資回収を開始できるのは、半年後である。これは予定通り5人・6ヶ月で、開発が完了した場合である。しかも、この2案件に関連性がある場合、さらにプロジェクトの遂行は困難になる。プロジェクト間での関連情報をやり取りする場合、そのコミュニケーションコストなどのオーバヘッドが大きくなり、一般的には、予定よりも長期化する傾向にある。

 そこで、著者は、1案件にプロジェクトリーダ1人、開発要員10人を割り当て、それぞれの案件を3ヶ月で順に、シングルタスクとして開発することを推奨する。この場合、最初の1案件は、3ヶ月で完了し、投資回収を開始することができる。そして、次の案件を3ヶ月で完了し、半年後から投資回収を開始できる。

 開発チームの開発力を集中することができ、プロジェクト間のコミュニケーションコストが発生しない。例えば、これが3案件であっても同じである。最後に回った案件は、投資回収までに9ヶ月かかることになるが、それでも先に2案件を短期に完了することで、投資回収を早めることが出来る。複数案件を、複数チームでマルチタスクで開発するより、シングルタスクとして短期開発した方が、同じ投資をするにしても、効果を早く順次獲得でき効率が良いのである。 

■目次:システム開発する前に知っておくべきこと83項目

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