強い会社のシステムはトップと現場リーダの関係がうまくいっている

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　●企業システム戦略孫子の兵法　謀攻篇　その６
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「その将は国の輔なり。輔、周なれば、則ち国必ず強く、輔、隙あれば、則ち国必ず弱し。

君の軍に患うる所以のものに、三あり。

軍のもって進むべからざる知らずして、これに進めといい、軍のもって退くべからざるを知らずして、これに退けという。これを軍をびすという。

三軍の事を知らずして、三軍の政を同じくすれば、則ち軍士惑う。
三軍の権を知らずして、三軍の任を同じくすれば、則ち軍士疑う。
三軍すでに惑い且つ疑わば、則ち諸侯の難至る。
これを軍を乱し勝を引くという。」

将軍は君主の補佐役であり、君主と親密であれば、その国は必ず強く、君主との間に溝があれば、必ず弱いということです。

トップが示す大義名分やビジョンを、現場リーダがしっかり理解し、コミュニケーションがよくとれている組織は、古今東西問わず、強いものですね。

　逆に、トップと現場リーダのコミュニケーションが不足している組織は、トップの意思が組織に浸透しておらず、動きがバラバラです。

そのような組織がビジョンを達成するのは難しいでしょう。

どの企業も組織のフラット化や中間管理職の活性化が課題となっているようですが、いずれもトップの意思を素早く確実に組織に伝え、軽快に動けるようにするためで、孫子の兵法からみても必要な施策といえるでしょう。

そして、トップが実行部隊に介入すると災いとなることが３つのあるといいます。

進むべきでないことを知らずに、進めと言い、退くべきでないことを知らずに、退けと言う。

■現場の事実を知らないのに、行政に干渉すれば、現場は戸惑う。
■現場の権限を知らないのに、任務に干渉すれば、現場は疑う。
■現場が戸惑い、そして疑いを持てば、相手にとっては都合が良い。
これを、軍を乱して勝利を失うという。

　このようなことは、現代の企業システムの中でも少なからず見受けられませんか。

いますよねぇー、こういう人！

現場のことを知らないで、トンチンカンなことを指示したり、権限も与えずに、無茶な任務を指示したりする人が。

システム構築などでも、トップが聞きかじりのＩＴ知識などを持って、中途半端に介入をすると、ほんとに現場は右往左往します。

その場合、現場は無視するか、面従腹背ですよね。結局、企業システムは有効に機能せず、無駄が多くなります。

いずれ、システムは内部崩壊し事業継続ができなくなり、負けます。

しかし、最悪なのはトップがコミュニケーションが十分取れていると勘違いし現場に任せ切りで、それぞれが好き勝手にエゴだけで動いているケースです。

多くのシステム構築で失敗しているのは、むしろ後者のほうで、それゆえ、ＩＴは金食い虫で役立たずとの烙印を押されているのです。

トップがコミュニケーション不足な上に、現場の実情も知らず適切な介入もせずに任せ切で、役に立つシステムなどできるはずがないのですが。。。

例え、システムができたとしても、期待効果を得られるように適切な使われ方がされません。

企業システムとして、いかに効率的にアウトプットをしていくか、そのための道具を、組織としてどう使い運営していくかは、まさに、

　輔、周なれば、則ち国必ず強く、
　輔、隙あれば、則ち国必ず弱し。

だからです。

このことは、情報システムに限らず、人・もの・金の使い方・運営におしなべて言える事ではないでしょうか。

今風に言えば、トップが現場を熟知した上で、多階層でのコミュニケーションを図り、実行段階で適切な関与を示すという組織ガバナンスが有効に効いている組織は強いということでしょう。