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五輪書 地之巻 兵法の拍子の事
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「何事にも拍子というものがあり、とくに兵法では拍子の鍛錬が必須である。
弓を射、鉄砲を撃ち、馬に乗るのでも拍子・調子というものがある。
拍子を乱してはならない。
また、目に見えないものにも拍子がある。
武士の身にも拍子があり、立身出世のとき、おちぶれたとき、いきあうとき、いきあわないとき、みな拍子がある。
物事の栄える拍子と衰える拍子とを、よくよく見分けなければいけない。
兵法の拍子にも、いろいろある。合う拍子、合わない拍子、大小・遅速の拍子の中でもあたる拍子、間の拍子、逆の拍子。
特に兵法では逆の拍子が重要。
戦いでは、敵の拍子を知り、敵の思いもかけぬ拍子で、空の拍子を知恵の拍子から発して勝つ。
どの巻にも拍子のことを書き記してあるので、よく噛締めて鍛錬すること。」
何事にも拍子（タイミングやリズム）がありますが、特に兵法では重要視されているようです。
この「拍子を乱してはならない」というのは、タイミングやリズムをはずしてはいけないということで、いつも同じ拍子にしなさいというわけではありません。
戦いの中で拍子は常に変化しているもので、変化するのが当然です。その変化に柔軟についていくことが拍子を乱さないことです。
変化に対して、無理に一定の拍子を保とうとするのは、かえって拍子を乱すことになります。ですから、目に見えないような拍子も、よくよく見分けなさいということですね。
市場環境や競合他社の動き、自社の強み弱み、社員のモチベーション変革に対する社内の潮流など。
もちろん、自分自身の人生にも拍子はありますね。
時々刻々変化する拍子を見分けて、自らも変化していかなければすぐに拍子は乱れてしまいます。環境が変わっていることに気が付かないでいると、拍子が乱れていることにさえ気が付きません。
１０年一日のごとく、企業システムを変えないで放置していることは拍子を乱すことになります。拍子を乱すことは、ノイズに対して不安定な状態ともいえます。
拍子が乱れていることに気がついた時には、時すでに遅し。
なんとか拍子を合わせることができれば助かりますが、そうでなければ、拍子が狂ってしまい混乱を極めます。
『変わらなければ生き残れない』わけですね。
拍子を見分けるには、目と耳で現場・現実・現物をよく見ることとタイムリな情報収集と分析がカギです。つまり、タイムリなフィードバック制御を行うことです。
分析は、一時点だけではなく、時間軸に沿ったトレンドを見ます。トレンドを見る事で、拍子の乱れを知ることができます。
そして、その拍子の乱れが、なぜ、起こったのかを因果関係を深く掘り下げることで、将来の拍子も見分けることができるようになります。
このような考え方が、ＢＩ（ビジネス・インテリジェンス）です。
単にＢＩツールを導入すれば、即日、インテリジェンスが高まるほど甘くはありません。ＢＩツールが提示する情報と分析機能を使って、そこから拍子を見分けるためのインテリジェンスを身につけるのは「人」です。
「逆の拍子が重要」
「空の拍子を知恵の拍子から発して勝つ」
市場や競合他社の拍子を見分け、自社の拍子を見分け、逆の拍子で、（つまり、意図的にノイズを作り出して不安定な状態にして）思いもかけぬ戦略を、瞬時に無念無想で、知恵を以て仕掛けて勝つ
となると、かなりの鍛錬と習熟が必要だと思います。
ＢＩツールの導入に成功し、真に拍子を読むことに成功している企業は、まだまだ少ないようですから、拍子のことを会得してＢＩツールを使いこなせば、勝てる可能性はかなり高いのではないでしょうか。
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