本気で組織やシステムを変革したいなら、まず中核部分から着手すること

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　●企業システム戦略兵法三十六計　攻戦の計　第十八計　擒賊擒王
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　擒賊擒王（きんぞくきんおう）「賊を擒えんには王を擒えよ」

敵の主力を叩き、指揮官、中心人物を捕らえられれば、（末端の部隊といちいち交戦せずとも）敵を弱体化できるという、攻撃目標選択の妙と効果判断の重要性を教える計略。

この語は、唐の詩人杜甫（とほ）の「前出塞（ぜんしゅつさい）」にある「射人先射馬　擒敵先擒王」（人を射んとすれば先ず馬を射よ、敵を擒えんとすれば先ず王を擒えよ）が出所である。

自軍が攻め勝って優勢にあるときに、戦利品を奪うことに気を取られて、敵の精鋭部隊や首魁を始末することを忘れるなら、虎を自由にして山に帰すようなものである。敵軍の旗の位置ではなく、その動きを見て、敵の主将の位置を判断しなければならない、とされる。

出典：フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』より

様々な課題がある場合に、どこに焦点をあてるか。即ち、”選択と集中”に関する作戦です。

そのポイントが、”王”です。”王”とは、システムの中核です。中核とは、各末端に指令を出す中央の核となる部分で、多くの要素に影響を与えるところです。

ですから、中枢を制することで、全体を制することができるのです。

例えば、業績に最も影響を与えるのが在庫です。

特に大きなシステム（企業システム）では、神経回路が病んでいることがあります。その場合、末端の課題をいくらつぶしても、全体に影響を及ぼすことはできません。

確実に中核となる部分の課題に集中し、変化を起こす必要があります。

ＩＳＭＳや内部統制、経営品質などで、経営者の責任やリーダシップが求められている所以です。

システムの各機能で、どれが王に当たるかを見極める方法としては、機能毎の効果を算定してみるのもよいでしょう。

各機能が、システム全体に対して与える影響、即ち、それが効果です。効果の大きな機能が、そのシステムの中核です。

機能は、組織や製品、業務プロセス、工程などと読み替えることもできます。

生産管理における制約理論（ＴＯＣ）では、システム全体の出力に最も影響を与えるのがボトルネック工程だと考えます。

企業システム全体においては、その企業を統制しているルール（規範や標準等）だと考えます。

本気でシステム全体に変革を起こしたければ、これら中核となる組織や製品、業務プロセス、工程にまず、集中して変化を起こすのがよいでしょう。

中核に手を入れようとしているかどうかで変革への本気度が伺えます。いくら変革を叫んでも中核に手を入れようとせず、枝葉末節の改善に終始するなら本気とは言えないでしょう。

情報システムのアーキテクチャで言えば、中核となるのは、データベースです。末端の画面やユーザインターフェースではありません。

また、多くの画面や機能があっても、その中で中核となる画面や機能は必ずあります。

それら中核に集中して、要件定義を行えばシステム全体を捉えやすくなります。

逆に、末端の画面やユーザインターフェースに目が行ってしまうと、システム全体を見失い、無駄の多い要件定義となりやすいです。これら末端にいくら注力してもシステムを抜本的に変革することはできません。

限られたリソースの中で、実現すべき機能に迷ったら、各機能が全体のアウトプットに及ぼす影響、すなわち効果を算定して、大きいものから選択し、集中するのが得策です。

ここで、一つ注意しなければならないのは、それが、本当に”王”（中枢）かということです。机上の空論で、見せかけの王やニセの王（影武者）に騙されると肩透かしにあいます。

”真の王”中核を見極めるには、現地・現物・現実で判断することが大切です。

実際に現場で試行したり、プロトタイプで推敲したりして影響度合いのデータを取得し、全体への影響をシミュレーションするのも一手です。

現場のデータを吸い上げ、分析するのも一手です。このような時にこそＩＴは効力を発揮します。

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