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業務は淀みなく流れているように見えても、使用しているシステム連携の状況によっては、そこに隙が生じてしまうことがある。
そのような場合、いとも簡単に業務で想定していないような事態・トラブルに発展する可能性がある。
例えば、部材の発注から入出庫と所要量計算(MRP)という業務を考えてみる。
日々、オンラインで購買部門は部材を発注し、倉庫では発注した部材の入庫や製造現場への出庫を行うという、なんの淀みもなく行われている普通の業務。
そして、所要量計算(MRP)という業務は、生産計画に従い、部材の発注状況や在庫状況を考慮して、生産に必要な部材の必要量を計算するという、これまたなんの淀みもなく行われている普通の業務。
ところが、発注に使用している購買管理システム、入出庫に使用している在庫管理システム、所要量計算(MRP)に使用している生産管理システムの連携に隙があると次のような問題が生じる可能性がある。
ここでの「隙」とは、各システム間のデータに生じるタイムラグのこと。
発注したはずの部材や入出庫したはずの部材のデータが所要量計算(MRP)に反映されず、二重で発注されてしまったり、必要な部材が発注されなかったりする。
レガシシステムでは、こういった問題を防止するために所要量計算(MRP)は発注や入出庫が行われない夜間にバッチ処理するなどの運用としていた。
しかし、昨今のコンピュータ処理能力の向上と生産変動への迅速な対応から、所要量計算(MRP)を昼間に実行するという運用が必要かつ可能になってきている。
最近の統合業務パッケージ(ERP)などでは、こういった問題が起きないようにデータベースが統合されている。
そのため、各業務で操作された関連するデータは即時にリアルタイム連携され同期がとれるようになっている。
ところが、レガシシステムではデータベースが個別分散されており、リアルタイム連携が難しい。APIなどによるリアルタイム連携も技術的には可能だが、大抵は数時間おきにデータを送受信して非同期に連携することとなる。
こうなると時々刻々と行われる発注や入出庫及び同時並行で行われる所要量計算(MRP)などの業務とシステム連携に隙ができてしまい、その結果、前述の問題が発生する可能性が出てくる。
また、分散データベースの非同期連携は隙(タイムラグ)や障害発生等によって、データの一貫性・整合性を保証するのが統合データベースよりも遥かに困難だ。
無理に同期をとろうとすれば、システム連携のタイミングに合わせて数時間に1回、発注や入出庫を行わなければならないが、そのような業務運用は非現実的だ。
結局、DXなどで業務変革してリアルタイムで生産変動に柔軟かつ迅速に対応できるようにしよう!など考えても、レガシシステムが足かせになってしまう。
Industry 4.0(第四次産業革命)の高度なサプライチェーンマネジメント「つながる工場」を実現する上で、こういった問題は複数の企業を巻き込んで経済損失を生じる恐れが出てくる。
これが「2025年の崖」でレガシシステムが問題視されている一因だ。
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●企業システム戦略 孫子の兵法 兵勢篇 その4
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兵の加うる所、段を以て卵に投ずるが如き者は、虚実、是なり。
戦いにおいて、石を卵にぶつけるように簡単に撃砕できる者は、充実した自軍で敵の虚(隙)をつく駆け引きが、そうさせるのである。
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