本気で変革するなら、市民開発にも統制を！

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最近はテレビでもノーコードでアプリ開発できるツールのCMなどをよく目にするようになって「市民開発」が認知されてきているもよう。

ここでの「市民開発」とはシステムエンジニアなどのようにITやプログラミング等の専門知識や技術を持たない、一般の事務職等によるアプリ開発を意味するとしよう。

つまり、社内の誰もがアプリをカンタンに開発できるというわけだ。

そのため、全社でDXを推進するには「市民開発」が有効であるとも言われている。日々の業務のなかで業務担当者が自らデジタル技術を活用し、業務変革を進めるのだ。

これまでのようにデジタル技術を活用して業務変革しようにも、IT部門に依頼して要件定義～開発（外注）～テストと気の長いことをやっていては、DXなど進まない。

確かにそのとおりかもしれない。しかも、IT部門は既存システムのお守りで手一杯、大量のバックログを抱えているのでちょっと試しにDXしてみたいなど思っても、数か月も待たされるのはざらだ。

それじゃあ、自分でやるから「市民開発」おおいにいいじゃないか！となってもいたしかたない。

ということで、業務変革に燃える各部署の若手社員が「市民開発」によるDXに取り組むこととなるわけだ。

例えば、出張旅費精算などで紙用紙に旅費を記入して領収書を添付してハンコを押して冗長に提出など今時、やっちゃいられない。

ってなわけで、手始めにコイツをDXしよう！ということでノーコードツールを使って、チョチョイのチョイと出張旅費精算アプリを作ったりするとしよう。

各部署の若手がそれぞれ思い思いに工夫を凝らして。中には紙用紙でいいじゃないか「市民開発」なんてできないよ、という部署もあるだろう。

こうして多種多様な出張旅費精算が総務部に申請される。これを受け取って処理する総務部が大変なことになることは想像に難くない。

こうした状況に陥るのを防ぐには、やはり統制が必要になる。例えば、出張旅費精算のプロセスを統制するプロセスオーナーは総務部なら、総務部が統制を利かせなければいけない。

出張旅費精算のアプリは総務部が開発して各部署に利用してもらうことのなるだろう。各部署の市民が思い思いに自由にアプリを作ってもらっては困るのだ。

こういった「統制」が煩わしいからと言って、目の前の自分だけの業務を効率化しようとしてアプリを開発しても大きな変革ということにはならない。

小手先のカイゼンだけに終始することなく、しっかりと「統制」に身を寄せて本腰を入れた「市民開発」を推進してもらいたいものだ。

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●企業システム戦略　五輪書　水之巻　しうこうの身と云ふ事
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秋猴（しゅうこう）の身とは、手を出さぬという気持ち。

敵へ身を寄せていく時、少しも手を出す心無く、敵が打つ前に、身体を早く入れてしまうことである。