急場のシニア人材活用でレガシシステム延命もあり？

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日経新聞でも取り上げられるようになってきた「2025年の崖」、もう残された時間はあまりない。

これからレガシシステム再構築に着手するのは手遅れの可能性もでてきた。また、すでに着手した企業においても、本件からみの失敗や事故が発生している。

12兆円の経済損失が生じるリスクがあるなど刺激的な数字が独り歩きしているが、あくまで想定による試算にすぎない。

その想定とはレガシシステムによってDXが進まず、日本の競争が大幅に低下するというという点にある。

その一方で、世界60カ国中で日本が国家ブランドランキング1位に初選出されるニュースなどもあるのでそれほど悲観したものでもない。

冷静に考えれば、レガシシステムは2025年以降も運用保守は可能だ。

なぜならCOBOL技術者はまだまだ健在だから。年代にすれば50～60代のシニア人材になるが私も含めて現役で仕事をしている人は多い。

一部のIT企業では減給無しで定年を70歳に延長したり、定年制を廃止する動きなども出ている。いわゆるシニア人材の活用だ。

人生100年時代を考えれば、まだまだレガシシステムの延命は十分に可能な状況にある。

さらにCOBOL技術者が減れば、COBOL技術者の市場価値が高くなる可能性もある。そうなれば、COBOLを積極的に習得する若手技術者が増えるかもしれない。

もともとCOBOLは「Common Business Oriented Language」（共通事務処理用言語）の略で、事務員でもプログラミングできる言語として設計されたため習得はそれほど難しくはない。

ならば、レガシシステムを2025年以降も運用保守するとどうなるか？これも実は大きな影響（経済損失）が無い可能性がある。

例えば、製造業で言えば中心となる生産管理業務はそれほど大きく変わらない。MRPを回して製造・購買を指図して部材を調達、製造組立て出荷し、売上、原価を会計につなぐというのが基本機能だ。

とりあえず運用保守できれば、甚大な経済損失が発生するということもないだろう。日常的な業務改善であれば十分に対応も可能だ。

誤解のないように言っておくが、だからと言って未来永劫、レガシシステムを使えばよいと言っているのではない。

「2025年の崖」という言葉に焦って、今からレガシシステム再構築に着手して大怪我をするくらいなら、急場のしのぎとしてシニア人材活用による延命策（逃げ手）も十分あり得るということだ。

今後、5～10年の急場をしのげればIT環境は激変するに違いない。レガシシステム再構築も生成AIやクラウドの活用により格段に容易となる可能性がある。

システム連携やデータ連携もしかり、今よりも格段に容易に「つながる」環境が整備されていくだろう。

義務教育でプログラミングを学んだ世代が労働市場に出てくれば、市民開発なども当然となっているかもしれない。

DX人材不足がDX推進の大きな課題になっているが、そのころにはある程度は解消されているだろう。少なくともあと一年でDX人材が急増する可能性は少なく、ここでもシニア人材の活用が実効的だ。

それまでに「2025年の崖」を境に急速に日本の競争力が衰退し、世界経済で後れを取り戻せないほどになるとは到底、思えないのだが。楽観的過ぎるだろうか？

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●企業システム戦略兵法三十六計　敗戦の計　第三十六計　走為上
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走為上（そういじょう）「走（に）ぐるを上（じょう）と為（な）す」

逃げるのが最善の策である。（勝ち目が全くないなら）全軍をあげて敵を避ける。