レガシシステムの延命策に潜むリスク

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レガシシステムを再構築しなくても継続して使用するための延命策はいろいろあるが、それに伴うリスクは頭に入れておく必要がある。

例えば、仕組みの背景や経緯がわからなくなってしまうことだ。よくレガシシステムの問題としてあげられる「ブラックボックス」がある。

内部の構造や処理ロジックが複雑化して理解ができなくなるという問題。確かにこれもあるが、ソースコードを読解すればなんとかなることも多い。

シニア人材を活用すればCOBOLも読解することは可能だろう。定年を60歳から65歳、70歳と延長すれば、レガシシステムも5～10年は延命が可能かもしれない。

あるいは、生成AIを使ってCOBOLを解析することもできるかもしれない。これも最近ではかなり現実的で、実用できる解決策になってきている。

これらの対策によって、「ブラックボックス」内部の構造や処理ロジックを解析して、「ホワイト」化することをシニア人材のライフワークになるかもしれない。

ただ、「ブラックボックス」内部の構造や処理ロジックを解析できたとしても、シニア人材や生成AIでも分からないのが「背景」や「経緯」だ。

「なぜ」、このような内部の構造や処理ロジックになっているのかが分からないという問題がある。

この背景や経緯がソースコードに書かれていることはまず無い。運よくドキュメントが残っていても、おそらく書かれていないだろう。

内部の構造や処理ロジックを解析して「ホワイト」化できたとしても、背景や経緯が分からないと、それらの要否が判別できない。

要否が判別できないと「削除」や「変更」することが難しい。一見、無駄に見える処理ロジックも、背景や経緯が良く分からないまま削除してしまうと、トラブルを起こす可能性がある。

あるいは、新しい業務要件に合わせるために処理ロジック「変更」したら、それまで正常に処理されていたものが動かなくなる可能性もある。

このように「どのような処理をしているか」は解析できても、「なぜ」かを知ることができないと仕組みを新しくしたり変更したりすることが難しくなるというリスクがある。

現行のままでレガシシステムが安定して継続使用できればそれで良いというのなら当面は問題ないが、延命策による「安定」稼働にはこういったリスクが潜んでいることを頭の隅に置いておく必要がある。

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企業システム戦略孫子の兵法　兵勢篇その８
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乱は治に生じ、怯は勇に生じ、弱は強に生ず。