市民開発の原動力は市民

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DXの取り組みの中で「市民開発」ということばを聞くことも多くなった。

市民開発はノーコードツールなどを使用して、IT技術者に頼らず業務部門の担当者がアプリなどを開発する。

それにより、業務改革とデジタル化を素早く推進できると考えられている。

ただ、ノーコードツールを使えば「誰でも」「カンタンに」業務アプリが作れるという広告が多いが実はそうでもない。

実際、ノーコードツールを導入して「市民開発」に取り組んだものの、思ったように推進できていないケースも少なくない。

ノーコードツールを使ったことがあればわかるが、「誰でも」「カンタンに」とは言っても、ノーコードツールの使い方は最低限習得する必要がある。

その最初の段階でつまずくことも多い。頭にイメージしたように「動くアプリ」を作るのは、Excelなどのツールを覚えるのとは少し違う。

日常業務の時間を割いてノーコードツールを習得し、最初のアプリを作るまでにはそれなりにハードルがある。

そして、なんとかそのハードルを乗り越えて最初のアプリを作ってから、次のアプリを作ってみようという気持ちになるかどうか。

ここにもハードルがある。ひとつできれば十分、もう二度とやりたく無いと思うか否か。

さらに、次の市民開発者を増やそうと思うか否か。自分の取り組んだ経験を踏まえて、他の人にも「おすすめ」したいだろうか。

「おすすめ」したら、先駆者として後進のサポートをするという役割もあるだろう。その役割を喜んで引き受けることができるか否か。

ノーコードツールであっても「市民開発者」の輪を広げるのは、それほどカンタンではない。

先駆者になった人だけがうまくいったというだけでは、アプリ開発はその人に頼めばよいということになる。

それでは、業務部門の中に要求者と開発者ができてしまい、開発者がボトルネックとなる。これでは「市民開発」とは言えまい。

市民開発者が市民開発者を育て、組織内に「市民開発」の勢いを生むには、そのための仕掛けが必要だ。

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●企業システム戦略孫子の兵法　兵勢篇その１０
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善く戦う者は之を勢に求めて之を人に責めず、故に能く人を択びて勢に任ぜしむ。