デジタル変革には「心技体」三拍子そろった人材が必要

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DX推進の課題として昨今、「DX人材育成」についての記事やイベントなどをよく目にするようになった。

一時「リスキリング」という言葉が流行り、「全社員をリスキリングしてデジタル人材化」のような記事もあったが、最近はあまりお目にかからない。

おそらく、リスキリングでデジタル「スキル」を習得しても、思うほど「変革」が進まないということだろう。

「DX人材」という定義も様々あるが、昨今は「変革」推進者というニュアンスが強くなってきているようだ。

「スキル」という言葉には技術的な意味合いが強い。リスキリングでデジタル技術を習得したら、これをどう変革に活かすかという「心」と、継続する体力「体」が必要だ。

つまり、デジタル変革は「心技体」と三拍子そろった人材が必要になる。心技体の内、「技」と「体」はリスキリングやトレーニングでそれなりに習得することが可能だ。

しかし、「心」はそう簡単ではない。ビジネスモデルや製品・サービスの変革に向けて「心｝を変革する必要があるが、これをどうすればできるだろうか。

リスキリングやトレーニングでは心を変革することはできない。ほかに有効な方法論も確立されていない。よく言われるのが現状認識や目的の理解、ビジョンの共有などにより、変革を促すというものだ。

DX先進企業と言われる会社でも、この心の変革には苦労しているようだ。特に先陣組から全社への横展開において、そう簡単に全社員の心を変革することはできない。

あきらかに先陣組とは温度差がある。先陣組は変革のミッションを担って集められたり、自ら手を挙げて志願した人達だ。現状認識や目的の理解、ビジョンの共有はできており、変革の必要性は十分、認識できていて意識も高い。

しかし、その他大勢の社員はなかなかそこまで追いついていけない。日常業務に盲殺されている中で、仕事のやり方を根本的に大きく変えるような「心」の余裕などないことも少なくない。

横展開に失敗すると先陣組とその他社員の間に大きな壁ができ、先陣組が孤立してしまいかねない。そこをうまく進めていくためにも心技体が必要になる。

変革に対する「心」、強い「思い」と「覚悟」、それを伝える「技」、そして継続する「体」。このどれか一つが欠けてもなかなかうまくいかない。

そして、重要なのは先陣組を支える経営者の存在だ。「よろしく頼む」で放置するようでは、先陣組は、うかばれない。

トヨタ生産方式「かんばん」の生みの親と言われる大野耐一氏、そこに豊田喜一郎社長という存在があればこそだ。

二人三脚で推進した「かんばん」が社内に周知されるまでに30年余りを要したと聞くが、「技」だけではとても30年も継続できなかったろう。

いまだ未完成で、二人が居なくても日々、進化しているのは「心」が全社に浸透しているからに違いない。

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●企業システム戦略　五輪書　水之巻　一つの打ちという事
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一つの打ちという心をもって、確実に勝つところを得取するのである。兵法をよく学ばないと心得ることはできない。この意義、よく鍛練することが、兵法、心のままになって、思うままに勝つ道である。よくよく稽古すべし。

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