現場DXは「場所」が重要!!

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事務方のデジタル化はあまり「場所」にこだわる必要はない。多くの仕事は机の上、パソコンで行われており物理的な場所の制約を受けるようなことはほとんどないからだ。

しかし、現場でのデジタル化はそうはいかない。一口に現場と言っても様々な場所で仕事が行われている。工場内だけでも材料倉庫、部品加工、組み立て、出荷場などがあり、場所ごとに仕事の内容や扱うものの大きさや性質が違っている。

また、一口に組み立て工場と言っても作るものの大きさや作り方、流し方などが異なる。例えば、比較的小物でセル生産をしている工場で、作業指示書や組図をデジタル化してうまくいったとしても、そのまま大物機械の組み立て現場でうまくいくとは限らない。

モニタを見ながら組み立て作業をするにしても、モニタを置く場所がない。タブレットなどのモバイルデバイスを持ち込めないケースもある。コンタミのリスクがあるからだ。

組み立て作業をするのに小物であれば、素手に小さな工具を使用するのであればモニタやキーボードの操作に難はない。しかし、大物機械では軍手に大きな治具や油の付いたマシンを操作するなどデジタル機器を操作しずらいこともある。

ラインサイドにモニタを設置できる場所が確保できればよいが、そうでない場合は組み立て場所を離れてモニタのところまで移動しなければならない。

その場合は移動の手間が増え、作業も中断しなければならないので組み立て作業の効率が低下する可能性がある。結果的にタイムリーにデータの入力が行われない、使われないという症状が現れる。

このような場合はモニタではなく、ウェアラブルコンピュータを使用するなどの工夫が必要だ。

別の例では、RFIDを使用して「もの」や「人」の動きを監視してデータを集め所在を把握したり、動線を分析して効率化しようというケースでは、電波がどこまで届くかを検証する必要がある。

ある航空機工場では、アルミ材の大物板金部品があるショップではRFIDが機能しなかった。アルミ材のような大物板金部品の裏側には電波が届かないのだ。

そのためRFIDを読み取るためのアンテナを設置しても電波が届かないためデータを収集することができなかった。この時は試験研究段階であったのでアンテナを人が持って定期的に周囲を探索するという泥臭い方法をとった。

しかし、この方法は実用化されなかった。結局、このショップは整理整頓して「もの」を大物板金部品の陰に置かないようにして所在が不明にならないようにするという昔ながらのアナログな対策で解決を図った。

「現場」は実に様々だ。日本中で全く同じ「現場」というのはないのではないか。だから、現場DXも現場ごとに異なるはずだ。

どこで、どのような「場所」でデジタルを使うのか、無理なく使うことができそうか、想定外の事象が現れないか等々、しっかりと念頭に置いて進める必要がある。

当然、事務方のデジタル化における発想や考え方を、そのまま現場に持ち込もうとするのは論外だ。

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●企業システム戦略　五輪書　火之巻　場の次第という事
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場の優位性を活かし位置取りで勝ちを得ることに専念せよ。