出社回帰かニューノーマルか、レジリエンスとの戦い

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事務所に出社せずリモートで働くスタイルをニューノーマルと呼んだのもつかの間、すでに多くの企業が出社回帰へと向かっている。

その中には変革を先導する立場の外資系大手コンサルティング会社なども含まれている。

心理的にもシステム的にもバランスを崩すと自然にレジリエンスが働く。

変革が起こりかけても元に戻ってしまうことを「サイクリング」という言い方をするようだ。

これも変革によってバランスが崩れるので、元の安定した状態に戻ろうとレジリエンスが働くからだろう。

一方、昨今の急激な環境変化や災害などから回復するためには、企業もレジジエンスを高める必要があると言われている。しかし、組織のレジリエンスが高くなれば変化から安定状態に戻る力が強く働くことになる。

DXでは組織風土も変えるような変革を求められているが、組織風土を変えて新しい組織風土をニューノーマルとして定着させるのはかくも簡単なことではない。ゆえに、多くの企業が組織風土には手を付けず、デジタル化に取り組んでいる。

そのデジタル化の一環としてレガシシステムの再構築がある。ところがこれも多くの企業では、利用部門からの現行機能保証、現行踏襲といった強い圧力で変革のトリガにならない状況を生んでいる。

変革のトリガどころかレガシシステムの再構築だけでさえ暗礁に乗り上げてしまうか、手を付けられないまま放置されようとしているケースも少なくない。

こうして、組織風土改革に正面から取り組むのは難しくても、レガシシステムを再構築することで変革のきっかけにしようという目論見がもろくも崩れ去ってしまう。

半ば強制的にトップダウンで、Fit To Standardによりシステム再構築を完遂できたとしても、後から現行機能の追加改修要望が多発して、現状回帰してしまうのは目に見えている。

組織風土までは変えられないとしても、せめてプロセスやシステムは最新の業界標準、ニューノーマルに合わせて変革したいものだ。

そのためには変革によって崩れたバランスをニューノーマルの下でバランスさせなければならない。元の安定した状態に戻るのではなく、新しいバランスを獲得する必要がある。

心理的にもシステム的にも元の状態に戻って安定しようとするのが自然なレジリエンスであるから、この自然な力に逆らって、新しいバランスを獲得するにはかなりの抵抗力が必要になるはずだ。

新しいプロセスやシステムに少しでも不安を感じれば「やっぱり元に戻ろう」と現行回帰してしまうだろう。ちょうど多くの企業が出社回帰に舵を切ったように。

その時に手綱をしっかりと握り締め新しい方向へ誘導するインセンティブ、不安解消、リーダーシップなどを発揮する必要がある。この推進力が弱い組織は現行回帰してしまうだろう。

思い返せば、今はニューノーマルとなった携帯電話。最初は高額で、つながらず、やっぱり携帯電話はやめておこうと様子見をしていた人も多くいた。

しかし、イノベータが明るい未来を信じで次々と改題を解消し、携帯電話からスマートフォンへと進化させ。それに賛同するアーリアダプターを巻き込むことで変革を遂げた。

このことから、プロセスやシステムの変革にも「イノベータ理論」による普及とニューノーマル化は有効だ。

イノベータ理論：1962年に米国スタンフォード大学の社会学者エベレット・Ｍ・ロジャース教授が提唱したマーケテイング理論。

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●企業システム戦略　五輪書　火之巻　崩れを知るという事
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「崩れ」というのは、どんなことにもある。家が崩れる、身が崩れる、敵が崩れる、時節が来て拍子が狂うことによって崩れる。

敵の崩れる拍子をとらえて、その瞬間を逃がさず攻撃するのがポイントである。”崩れ”の急所をはずすと、敵が立ち直ってしまう。

敵が二度と立ち直れないように「打ち放す」のである。