◆海外製パッケージソフトを導入するときの注意事項は?

企業システム戦略

◆海外製パッケージソフトに負けるな!
 ERPパッケージは、前述の「統合データベース」によるリアルタイム連携を基本方針とし、ゆえに個別に開発されたバラバラの業務システムを一掃し、業務スピードと経営効率化を達成するとベンダやマスコミ、ERP推進者は論じている。しかし、これは、欧米の業務スタイルが、徹底したマニュアル化・標準化によるもので、例外発生時の担当者による融通性や独断性を許さない、かつ、経営層が、情報を元に経営判断をすることが多い、組織文化の下での話ではないのか。そういった背景を理解した上で、海外製の業務パーッケージを考えなければならない。当然、前述の「統合データベースの落とし穴」にもはまる危険が内在する。

 会計処理業務のように、会社によって異なると反って都合が悪く、グローバルスタンダードに合わせる事を国際的にも求められている分野は良いだろう。しかし、生産管理業務など、「モノ造り」に直結するような分野においては、日本人は、むしろ個人の能力を活かし、例外にも柔軟に対応できる強みがある。ERPの導入は、そうした日本の強みを失う可能性がある。トヨタでは、コンピュータが故障した場合に、一々専門家を呼んでこないといけないようでは、その間にラインが停止してしまう。という考え方があるそうだ。まして、開発元が、海の向こうでは、迅速な対応が望めない。

 実際、著者の知るところでも、海外製パッケージソフトが故障し、1週間も部品表が処理できなかった事例がある。普通の製造業なら、1週間も部品表が更新されなければ、大問題である。たまたま、システムの切り替え開始時期であった為、旧システムを並行稼動しており、現場の混乱はまぬがれた。

 これは米国がしかけている、グローバルスタンダードという戦争でもある。グローバルスタンダードとは、欧米に迎合することではない、日本人が日本人たる所以を認識し、アイデンティテイを確立して、世界に出て行くことである。著者は、アメリカ出張やオーストラリア旅行の折に、自分が学生時代からやっている空手道の精神や文化が、身についているからこそ、彼らに臆することなくコミュニケーションが図れ、彼らも、日本人として敬意を表してくれることを学んだ。欧米の事情にばかり詳しく、日本について何も語れない日本人は、国際社会の中で埋もれてしまうだけだ。負けるな、製造業ガンバレ!  

■目次:システム開発する前に知っておくべきこと83項目

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