システム導入等で自社に合うコンサルタントを探して、上手につき合うには

企業システム戦略

 外資系コンサルタント会社などの台頭によって、コンサルタントに起因するシステム導入時のトラブルを耳にするようになった。多額のコンサルティング費用を支払ったにもかかわらず、満足のいく成果が得られなかった。大勢のコンサルタントがやってきて調査をしていったが、納品されたのは、その調査結果をまとめただけの大量のバインダだけであり、システム構築の要件定義書にもならないといったような事例を耳にする。みなさんは、コンサルタントに、どんな印象をもたれているか、システム構築プロジェクトのメンバに彼らを参加させるべきか、また、参加させるとしたら、どのタイミングで参加させるべきなのか。

 たしかに優秀なコンサルタントは存在する。先に述べた、さまざまな方法論や経営手法を理解し、その会社に合った方法論を提案し、最適なITの導入を実践できるのである。しかし、悲しいかな、そのようなコンサルタントが非常に少ないのも事実である。契約前には、書籍や雑誌で有名なコンサルタントが来ても、いざ契約すると、どう見ても新入社員に毛が生えたようなコンサルタントが大量にやってきてヒアリングと称して、業務知識の習得に来ることがある。そして、提案と言えば、半を押したように統合業務パッケージソフトの導入を進め、経営の効率化を唱える。

 コンサルタントは「信用はするが、信頼してはならない。」という距離感が重要。宮本武蔵は、「神仏は尊しとすれど、頼むべからず」と言ったが、それに通ずるものがある。つまりは、主体性を持って、彼らの能力を信じて用いるのは良いが、何から何まで頼りきってしまってはいけない。自社にとって、何が必要なのかは、経営者である、あなた自身が判断しなければならない。自社のことは、自分が一番よく知っているのだと言う自負を持つべきである。しかし、自分のことは、自分では見えないということもある。そのために、外側からの目で、見てもらうのである。

 したがって、自社にとって有効なコンサルタントとは、社内からは気づかない、外からの視点での助言を与えてくれるものである。例え、若いコンサルタントがやってきて、自社の業務や現状を調査していったとしても、そのコンサルタント会社として、外から見た指摘や評価があり、提言があるなら、それを参考にできる。しかし、報告書の中味が、単に現状を整理しただけのものや、視点がITツールありきの、おきまりの提案であるなら、金をドブにすてることになる。

 そうならないためには、会社名やブランドに惑わされず、コンサルタントの「人物像」を見る目が必要である。それは、ITスキルなどではなく、純粋に人間としての懐の深さや人格などである。経営者である、あなたには、この「人」を見る目は備わっているはずだ。コンサルタントが繰り出す、IT用語や戦略理論、他社事例などに臆せず、「人」を見ればよい。高額なコンサル費も払って、この人間を雇えるか。そうして、自社の命運を託して、改革を任せられるのか。そういった目で、真剣に人物評価をしてはいかが だろう。

 そして、重要なスキルは、IT関連スキルではなく、業務スキルである。実績は、会社の実績で無く、そのコンサルタント自身の実績が重要である。これを推し量るには、自社あるいは業界における、例外的な業務など、きわめて特殊な例を2~3質問してみれば良い。素直に知りませんという場合、あくまで、最新の方法論では、こうだからこうと回答する場合、ITツールからの視点で回答する場合、さまざまである。

 しかし、その答えが、どんなものであれ、最新の方法論や、ITツールが世界標準であり、ベストのやり方であると言うような回答をする場合は、要注意である。彼らは、自社の方法論やITツールが、最高であると言うことを徹底的に教育されているので、それらについて適切かつ、詳細に回答できるのは、あたりまえである。そうでなく、例外的な業務に対する質問に対し、顧客の視点から、的確な質問を2~3した上で、検討を加えた、自分なりの答えを出してくるコンサルタントは、応用力があり、業務スキルも懐が深いと考えられる。

 このようにして、あなたが見込んでチームに参加してもらったコンサルタントなら、多少ITスキルに弱かろうと、必ず自社のために一生懸命に考え、行動してくれる。また、そういった人物ならば、自社のメンバとも良いチームワークを形成し、リーダシップを発揮してくれるはずである。くれぐれも、売上拡大やITツールを売り込むことだけをゴールにしているコンサルタント会社には注意したい。

 自分一人での判断が不安であれば、参謀役として社内で信頼を寄せるシステム部門の人間か、もしくは、ITコーディネータやシステムアナリストなどに相談すると良い。良い参謀とは、良い医者と同じで、できること・やるべきことなどだけでなく、出来ないことや、やってはいけないこと、やった場合の副作用などITの本質を理解し、そのメリット/デメリットを、しっかりとインフォームド・コンセプトしてくれる人物である。

 実際には、会社のブランドではなく、個人としてのコンサルタントを探すのは実は難しいもの。
そういうときこそ、マッチングサービスを活用したいもの。    

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■目次:システム開発する前に知っておくべきこと83項目

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