プロジェクトが失敗する時、そこには要員に関するアンチ・パターン6つがあります。
孫子は地形篇で、兵には、逃げ出すもの、気の弛むもの、落ち込むもの、崩れるもの、乱れるもの、敗北するものの6つがあり、凡そこの6つは天災ではなく、将の過ちであるという。
プロジェクトの要員には様々な人がいます。アンチ・パターン6つを知れば、プロジェクトの成功にとってリーダの重要な任務である、要員の多様性を見極め、特性を生かして適材適所を図る「要員管理」ができるようになります。
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孫子の兵法 地形篇 その2 兵には、走る者あり、弛む者あり
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「兵には、走る者あり、弛む者あり、陥る者あり、崩るる者あり、乱るる者あり、北ぐる者あり。
凡そ此の六者は天の災に非ず、将の過ちなり。
夫れ勢い均しきとき、一を以て十を撃つは曰ち走るなり。
卒の強くして吏の弱きは曰ち弛むなり。
吏の強くして卒の弱きは曰ち陥るなり。
大吏怒りて服せず、敵に遇えば恕みて自ら戦い、将は其の能を知らざるは、曰ち崩るるなり。
将の弱くして厳ならず、教道も明らかならずして、
吏卒は常なく、兵を陳ぬること縦横なるは、曰ち乱るるなり。
将 敵を料ること能わず、小を以て衆に合い、
弱を以て強を撃ち、兵に選鋒なきは、曰ち北ぐるなり。
凡そ此の六者は敗の道なり。
将の至任にして察せざるベからざるなり。」
兵には、逃げ出すもの、気の弛むもの、落ち込むもの、崩れるもの、乱れるもの、敗北するものがある。凡そこの6つは天災ではなく、将の過ちである。
・そもそも軍カが均衡しているとき、
十倍もの敵を攻撃するから逃げ出すのである。
・兵隊が強く、士官が弱いと気が弛む。
・士官が強く、兵隊が弱いのは落ち込ませる。
・士官が怒りて将に服せず、敵に遭遇したならば自分勝手に戦い、
将がその事実を知らないでは、軍は総崩れとなる。
・将が弱く威厳がなく、軍令も不明で士官もおらず、
兵が自由気ままにしていれば、軍は乱れることになる。
・将が敵を察することができず、小隊で大隊に合戦し、
弱隊で強豪を攻撃し、先鋒となる兵がいなければ敗北する。
凡そこの六つは、敗北の道理である。
将の任務として考察しなければならない。
このように孫子は、組織が敗北するときのアンチ・パターンを6つ挙げています。
そして、このパターンは天災のように振って沸く不運ではなく、リーダの過ちによって引き起こされるとしています。
それ故、リーダの任務として6パターンを良く考察し、組織が敗北へ向かわないようにしなければなりません。
高すぎる目標はパフォーマンスの低下を招く
実力が均衡しているとき、十倍もの敵に向かわせれば、戦意喪失して逃げ出すというものです。
システム的に考えても、能力が均衡している状態で10倍もの負荷をかけては無理が生じます。
事実、量が質を凌駕するということはあります。
100万件なら問題なく処理できるシステムでも、
1000万件になると使い物にならなくなることがあります。
その場合、単に処理能力を10倍に増やせばよいケースとアーキテクチャから考え直さないといけないケースがあり、後者に至っては、逃げ出したくもなります。
高効率の生産ラインであっても、一気に10倍の生産量を消化することは不可能です。
特にPull式生産システムでは、急激な需要変動は禁物です。
何故なら、平準化という前提の下に成立するアーキテクチャだからです。
このような状況に至るには、突然振って沸く災難ではなく、運用要件の最大処理能力をどこに設定するか、業務分析や利害関係者との十分な調整を怠った過失であるケースが少なくありません。
弱い指揮官は、メンバーの気持ちを弛ませる
メンバーのスキルが非常に高く、サブリーダのスキルが弱いと組織統制が弛むことがあります。
単にメンバーがサブリーダを見下してしまうためだけでなく、サブリーダがスキルの高い人材を十分に使いこなせないと、緊張感が薄らいでしまうということもあるでしょう。
システム的に考えても、周辺装置の能力ばかり高くて、制御機構が貧弱では、そこがボトルネックとなるため、周辺装置はアイドル状態が置きやすくなってしまいます。
制御する側の能力は、制御される側の能力を十分に活かし切るのに必要十分な能力を備えておく必要があります。
強すぎる指揮官は、メンバーを萎縮・疲弊させる
逆のケースもアンバランスには変わりありません。
この場合は、メンバが萎縮してしまったり、周辺装置が悲鳴を上げてしまったり、制御機構だけが空回りをすることになります。
これは、リーダが構成員のスキルバランスを考察せずにアンバランスなチームビルディングをしてしまった過失であるケースが少なくありません。
リーダたるもの、構成員や構成品の能力や特質を良く考察し、いわゆる”適材適所”を心がけ、組織構成員やシステム構成要素のバランスを図らなければ、アウトプットを最大化する高効率な組織やシステムには、なり得ないという事です。
員数だけ揃えれば事足りるというような構成で失敗するのは、まさしく、リーダの過失以外のなにものでもありません。
怒りっぽく身勝手な指揮官と不知の将は組織崩壊
サブリーダが強面の上に、怒りっぽくて自分勝手に突き進むような組織は最悪です。
しかも、そのようなサブリーダの言動をリーダが知らなければ、組織は崩壊して当たり前です。
ちょっとした高負荷に対して、リソースをべらぼうに消費する構成要素が一つ存在するだけで、システム全体のパフォーマンスを逼迫状態に陥れるようなものです。
そういったできの悪い構成要素を知らないままに、いくらシステムを増強してみたところで問題は解決しません。まずは、パフォーマンスモニタやリソースモニタによって、ボトルネックとなっている構成要素を特定することが先決です。
組織構成においても、そのようなサブリーダを早めに発見し、再配置するなどの手を打たないで状況を悪化させるのは、これもリーダの過失によるものと言えるでしょう。
リーダは、適時適切なモニタリングを怠ってはいけません。
気が弱く指示が曖昧なリーダは統制が乱れる
そもそも、リーダが気弱で威厳が無く、指示も不明確でサブリーダも不足しているようでは、メンバは、自由気ままに好き勝手のし放題、これでは、組織は乱れて当然です。
リーダたるもの気力充実し、明確な意思表示を組織に示すのは、最低限の務めです。例え、自律型の組織やシステムであっても、ミッションや最終目的とするところは明確になっており、全員が認識・ベクトルを合わせておく必要があります。
それこそが、リーダたる最大の任務です。
リーダが外部環境を察せず進めば敗北
リーダは内部統制に努めるだけでなく、外部環境についても常に考察が必要です。
己の規模や実力をわきまえず、突破口を開くべく戦法やキーテクノロジも無いのに、無謀な行動を起こせば、失敗してあたりまえ。
例えば、1秒間に数万トランザクションを処理するシステムや超高速のMRPには、通常のデータベースではなく、インメモリデータベースを採用するとか。リッチ・インターフェースでありながら、良好なレスポンスを得るには、Ajaxやスマホアプリを駆使するとか。
そういった新しいテクノロジの採用も検討せず、既存の技術だけで無謀な要件に立ち向かうのは、戦う前から負けに行くようなものです。
それは不運ではなく、リーダの過失といえるでしょう。PMBOKで言えば、主に組織管理、リスク管理、コミュニケーション管理における過失です。
この6パターンに限らず、プロジェクトや事業の失敗は、天変地異ではなく、リーダの過失であることが多いです。組織やシステムを敗北に導いて”そのようなことは想定していなかった”(だから不可抗力?)では済まされません。やはり、リスクに対する考察が不十分であったという過失です。故に、リーダには責任に値する権限と覚悟が必要です。
権限も覚悟も無いのに、任務と責任だけ負うリーダほど悲惨なことはありません。
故に、リーダを任命するにも、リーダに任命されるにも、熟慮が必要なのです。
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