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◆「ペーパーレス化」を推進する時の注意事項は?

企業システム戦略

◆「ペーパーレス化」の落とし穴
 ITを活用した業務効率化において、「ペーパーレス」も古くて新しいテーマだ。昨今のネットワークや情報端末の発達によって、業務から「紙」を無くすことは、技術的にはそれほど難しくはなくなった。デスクワークや事務処理において、あるいは、営業や物流などにおいて、紙の伝票をITによって不要とすることについては、その効用に異論は無い。大量の伝票発行にかかる紙代を削減するという直接的な効果だけでなく、それに関わる管理費や、業務のスピードアップ、最新情報の伝達などメリットは多い

 ところが、製造現場などで、紙を無くしてしまうと、思わぬところに落とし穴がある。製造業で、生産管理のスタッフから良く提案されるのが、現場への作業指示書や図面などのペーパーレス化だ。メリットとしては、現場への紙による配布作業の省力化、作業指示のスピードアップ、設計変更等の情報伝達スピードアップと情報鮮度向上などである。

 たしかに、欧米の工場や国内の先進的な工場では、すでに作業指示書をペーパーレス化しているところもある。特に欧米などは、現場作業者は、作業指示どおりに作業することが求められており、あまり自律的に仕事をしない。こういった、集中センターで全ての作業をコントロールし、作業者はシステムの端末から指示されるとおりに作業するというスタイルなら問題は無いように思われる。

 本来、作業指示書の用途は作業指示なのだから、何も問題はないと思うのだが、実際に現場での作業指示書の使われ方を細かく調べてみると、これが、千差万別でいろいろな使われ方をしていることが多い。

  紙の良いところは、何でも自由に書き込みができるところである。作業者が作業中に思いついた改善事項や実寸法のメモ、不具合発生時の記録や、後工程への申し送り事項など、現場の中での、自律したコントロールが、紙を媒体とした情報伝達によって確立していたり、ノウハウが蓄積されていたりする。日本は、現場の強みが競争力であることが多いので特にこういった傾向にある。ちなみに、欧米でも「カイゼン」を盛んに現場に取り入れていると聞く。その欧米の5年前の姿を追って、現場の強みをペーパーレスで失ってしまう のでは、残念なことだ。

 ITでシステム化した場合の情報端末は、固定的な入力画面や出力画面を通じて、情報を伝達することになるので、その定形画面に入らない情報を付加することが出来ない。また、システムの指示に従って作業をすると、先を見通して、現場が自律的にコントロールすることができなくなる。こうした現場の実情を知らず、あるいは無視して、ペーパーレス化を進めれば、現場に混乱をきたすことになる。また、現場では混乱を回避するために、端末で表示した作業指示の画面コピーを紙に出力して、それを流通させてしまう。

 これでは、逆に非公式な情報が紙で流通してしまい、システムが陳腐化してしまう。また、紙の情報とシステムの情報が不整合を起こすことで、作業や製品に不具合を引き起こしかねない。もちろん、生産方式や取り扱う製品によって必ずしも、こういった状況になるということでもない。ライン工場で、一定の決められた作業を指示に従ってこなしていくような場合や小型製品である場合、図面や作業指示など全ての情報を端末から入出力することが可能である。

 一方で、ショップジョブ型の工場や、大型製品では、前述のような状況に陥りやすい。現場のペーパーレス化を推進する場合は、実際の現場で紙がどのように使われているかを詳細に調べ、その情報の中で、生産管理部門からの作業指示情報と現場内での情報を仕訳し、前者をシステム化でペーパーレスすると共に、後者についての代替案を検討しておかなければならない。  

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