◆著作権、所有権
ソフトウェアには著作権というものが付いて回る。これは、通常、そのソフトウェアを作成したところが権利を所有する。そのため、契約書にて何も言及しなかった場合、納入されたソフトウェアを自社で勝手に書き換えることができなくなる。また、別の業者に、改修を依頼することもできなくなる。
例えば、本を買ったときには、本を読む、人に貸す、人に売るのは、自由である。しかし、その本を無断で複製することは原則として著作権の侵害になる。本を購入した場合、その本の所有権を得るが、著作権(複製権や翻案権等)は著者に残る。
こういったことにならないように、契約書には、「納品したソフトウェアおよびドキュメント等納品物の著作権は、発注者である自社が所有し、受注者は、著作者人格権等を行使しないこと」と言及しておくことを忘れてはならない。さらに、納品物であるソフトウェアに、業者が開発した汎用部品などが使用されている場合、その部分と自社の仕様書に基づいて開発された業務アプリケーションの部分を分けて検討する必要がある。
また、開発したソフトウェアが、自社のノウハウであり、他社に対し競争優位性がある場合、同類のソフトウェアを他社へ提供できないように取り決めや秘密保持契約も必要となる。あるいは、共同開発した場合に、権利をどのように保持し、行使するのか。どこまでを許可し、制限するのか、このように「著作権」と一口に言っても、場合によっては複雑になるケースもあるで、心配であれば、法律の専門家に契約書のチェックを依頼するの も良い。
一般の売買取引では、代金の支払いと同時に、モノの所有権は売主から買主へ移動すると考えられているが、ソフトウェアにおける著作権については、要注意である。
コメント