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◆要員スキルや人間性など人的リスクとは?

プロジェクト管理

◆人的リスク
 システム構築における認識的リスクについて述べたが、正しく認識するのも、誤認するのも全ては「」だ。コンピュータは正直なので、決して誤認しない。コンピュータに誤認させているのも、やはり「人」が誤認し、誤認にもとづいて指示をしているからにほかならない。システム構築が、極めて労働集約的な作業である以上、「人」は、大きなリスク要因である。

 人的リスクには、質的なリスク量的なリスクがある。さらに、質的リスクには、技術的能力人間性(コミュニケーション能力や行動力など)に分かれる。技術的能力と人間性のどちらが、より大きなリスクかといえば、著者は人間性のリスクがより影響が大きいと考える。特に、問題が起きたときに人間性が弱いと、技術だけを拠り所に解決しようとする傾向があり、これは非常に危険である。むしろ、技術的な問題とするまえに、コミュニケーションの問題として捉え解決を図れる人のほうが、たとえ技術的能力が不十分であってもリスクは低い。

 先の認識的リスクが高いのも、人間性が弱い人である。また、技術的能力は他人が補助したり、指導する事で強化しやすいが、人間性は簡単に強化することが困難だ。もし、業者のリーダクラスに人間性のリスクを発見したら、早めに交代を要求するのが事前策だ。なまじ温情をかけていると取り返しのつかないことになりかねない。システム構築の失敗原因が、業者のリーダであることも少なくない、むしろ、一作業者の技術的能力が問題で、システム構築が失敗することなど稀なケースだ。

 技術的能力のリスクでは、人によって生産性が10倍以上も異なるほどコスト・期間に対する影響が大きい。これほど個人の能力が、全体のコスト・期間に影響する産業も珍しい。ソフトウェア工学なるものも存在するが、未だに根本は、金型もプレス機械も使用せずに自動車を造っているような職人的世界だ。古くから、あらかじめ作った部品を組合わせてシステムを構築する方法も考案されているが、未だに成功を収めてはいない。部品を作るのも職人芸、部品を組合わせるのも職人芸だ。なぜなら、全てが作業者の認識の上に成り立っているため、個人の認識的リスクにさらされている。そのため、認識が異なると、似たような既存の部品でも簡単には再利用できないのだ。

 しかし、技術的能力の高い作業者を確保するのは難しい。そこで、平均的な作業者の生産性を、できるだけ高く維持するには、モチベーション士気などのメンタルな部分や、適切なツールの使用、方法論標準の整備などの影響が大きくなる。ここでも、やはり人的リスクは、リーダの人間的資質である。チームのモチベーションや士気は、リーダしだいといっても過言ではない。

 技術的能力のリスクに伴い発生するのが、量的なリスクだ。平均的な能力の作業者集団に、作業の遅れが生じると量的なリスクとなって表れてくる。能力の高い作業者を投入できれば、量的リスクを回避する事もできるが、実際には難しい。ところが、システム構築でやっかいなところは、量的なリスクを量的に解決する事が簡単ではないという点だ。やはり、システム構築が、人の認識の上に成り立つものであるが故に、追加投入された作業者に目的や要件を正しく認識させることに時間がかかる。また、これをいいかげんにして作業をさせると、こんどは、認識的リスクが大きくなり、誤認による欠陥が多発して更に作業が遅れるという悪循環に陥る危険がある。

 質的にしろ量的にしろ、人的リスクは火が付いてしまってからでは手遅れであり、解決するのは容易ではない。「火消し」と呼ばれる「プロ中のプロ」を呼べばコストを圧迫する。そのようなことにならないように、特に業者のリーダとはコミュニケーションを、こまめに図り、リスクの兆候を見逃さずに早めに手を打ちたい。   

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