システムには、必ず、 損失(陰)の部分と益(陽)の部分や弱い部分と強い部分があります。損失を出さないようにと四苦八苦した結果、全体の益を失う恐れがあります。そのような場合、あえて損失(陰)の部分を犠牲(捨て駒)にして全体の益を確保するという作戦。
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●企業システム戦略 兵法三十六計 敵戦の計 第十一計 李代桃僵
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李代桃僵(りだいとうきょう)
「李(すもも)が桃の代わりに僵(たお)れる」
損害を受けざるを得ないときには、不要な部分を犠牲にして全体の被害を少なく抑えつつ勝利するように図る戦術。
双方に上・中・下の三種類の馬がいる時、上には下を、中には上を、下には中を当てることで初戦は負けるが後の2戦で勝ち総合的に勝利を収めることができる。
勢いがあるときでも、損失は必ず有る。損失(陰)を以って、益(陽)を得ることである。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この作戦は、私も空手道の団体戦などで使い勝利を修めたことがあります。先鋒、次鋒、中堅、副将、主将の5人で勝敗数を競うのですが、普通は主将が一番強いわけです。
しかし、相手と力が均衡している場合、弱い次鋒あたりを最後に回し相手の主将に当て、主将を前に持ってくるのです。
先鋒、次鋒、中堅、副将、主将
↑ ↑ ↑ ↑ ↑
主将、中堅、副将、先鋒、次鋒 などとします。
これで、主将、中堅、副将の3人が確実に勝てば、先鋒、次鋒が負けても団体戦には勝てます。このように、部分的には負けを喫しても、団体としては勝利を修めることができます。
このような作戦は、勝負の世界だけでなく企業システムにも適用できます。
部分的にはムダや非効率があっても、それを糧として、企業システム全体の価値を最大化できればよいのです。
例えば、安全在庫です。
基本的に在庫は損失(ムダ)と言われています。しかし、需要のバラツキが大きな市場環境では、そのムダをあえて適量持つことによって、欠品を起こさずに需要変動に対応できるのです。これが、SCM(サプライチェーンマネジメント)のコンセプトです。
実は、在庫ゼロと言われているトヨタ生産方式でも、同様の目的で工程間に「標準手持ち」という名の安全在庫に似た考え方があります。
あるいは統合業務パッケージを全社で導入して経営効率を高めるには、既存の細部業務プロセスは捨て、パッケージに組み込まれている標準的な業務プロセスを使うことがポイントであると言われています。
そのためには、多少の使い勝手の悪さには目を瞑る必要もあるとか。
確かに、個別で微妙に異なる業務プロセスに固執するより、標準的な業務プロセスに合わせるほうが、企業システム全体の経営効率は高まります。
ただし、これはあくまで一般論です。
ほんとうに既存業務を捨てて、標準化することが大局的な利を生むかは、よ~く、考えなければなりません。
捨てようとしている業務プロセスが、実は企業システムのコアであり、その局所最適が大きな価値を生んでいるかもしれないのです。それを、単に局所最適だからといって捨てて標準化してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。
使い勝手(陰)のことだからと軽率に考えて、既存のコア業務に支障が出るようでは、結局、新しいシステムが根付きません。
それでは、大きな益(陽)も得られません。
それどころか、巨額のムダな投資と業務プロセスの混乱という大きな損失を招きます。
先に述べた安全在庫もそうです。
その安全在庫量は、ほんとうに需要変動を吸収し企業システムの価値を最大化するために必要十分な量でしょうか。知らないうちに、”安全”ではなく、”危険”な在庫になっていませんか。
損失(陰)と益(陽)は、微妙なバランス関係に在ります。
安全のための損失(陰)だからと甘く見ていると、益(陽)を失うだけでなく、それ自体が大きな損失(大陰)になりかねません。このようにならないためには、いつも、その損失(陰)は、益(陽)を得るために適正なものであるかをモニタリングやレビューをし、過剰にならないよう補正する仕組みが必要です。
標準化も安全在庫も、度が過ぎれば、損失(陰)でしかありません。
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