窮地に追い込まれときの奇策が「苦肉計」自虐的態度で信用を勝ち取れ！

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苦肉計（くにくけい、くにくのけい）

”人間というものは自分を傷つけることはない”、と思い込む心理を利用して敵を騙す計略。

「人間は自分で自分を害することはない。ある人に害があれば、それは必ず本当に他人から害を受けたのだ」（ある人を「害そう、攻撃しよう」と主張する人間が、そのある人の配下や工作員であるはずがない）、また「もし本当に自分で自分を害したのであれば、その理由や原因はやむにやまれぬものであるはずで真実なのだ」

と判断する傾向がある。

この心理を利用すれば、虚実を入れ替えて、たやすく人を欺くことができる。

（苦肉計を行う者は）自分を間者の立場において敵を欺こうとする手段を行っていることになる。

およそ、自分から離反した人間（あるいは「離反した」と自称する工作員）を使って、敵が自分を攻撃するようにその人間が敵を誘うという工作や、その人間が「内応する」とか「協力する」と敵と約束するという工作を仕掛けるなら、（自分を害するように仕向けているのであるから、それらは）みな苦肉の計の類である。（敵はこれを計略だとは思わず本気にして騙される。）

（心の病でもないのに）自らを進んで刑罰で傷つける者はいない。刑罰で傷を受けるのは真実である（偽りではない）。

それを逆手にとってわざと刑罰で傷を受けて諜報員を信じ込ませて諜報員と接触する。（刑罰を受けた者に近づいてくるのはたいてい敵の諜報員である）。

この計略を成功させるには自然の流れの中で刑罰を受けるように仕向けることである。非の打ち所のない人物がいきなり刑罰を受けても敵に信用されない。

出典：フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』より

自虐的な態度をとって、相手を信用させ欺く作戦です。

ただし、わざとらしくなくというのがミソです。簡単に見破られてしまうようでは逆に不信感をだかせてしまいます。

例えば、納期遅れが発生した場合に、自然な形で、その責任がこちらにあるのだと先に非を認めてしまえば、言い訳をするよりも、かえって厳しく責任を追求されないかもしれません。

もちろん、これは”苦肉の策”ですよ。

どう考えても、こちら側の責任で納期が遅れたことが分かりきっていて、どうにもこうにも、仕方が無い時の策です。

しかし、自らの責任を認めるとしても、いつも自信満々の人が、いきなり低姿勢で臨めば、何か裏があるのかと、不信感をもたれます。

あるいは、会議などで、反対派の人が不信感を持っているような時、こちら側の人が言うことに異論を唱え、反対派の意見を擁護してみせる。

そういったことで、信用を得、その後の交渉をし易くすることもあります。

かつて、賞味期限の偽装や品質管理の問題が発生した時、会社の明暗を分けたのは、しかるべき責任者が自ら責任を認め再生に注力したかどうかだそうです。

三重の赤福餅は、今では最盛期にも勝る勢いを取り戻しています。苦肉の策が功を奏して、信用を完全に失わなくて済んだようです。

一方、吉兆は、弊店に追い込まれてしましました。初期に責任者が、その積を従業員に押し付けようとしたりして、信用を完全に逸してしまったのでしょう。

赤福餅が、欺くつもりだったとは思いません。

しかし、問題発生の初期に、自らの非を認めて、自虐的態度を表明したことで信用をなんとか留めたことは確かです。

中には、記者会見でトップが揃って、頭を下げていても、なんだかあからさまで誠実感に欠ける会社も
あったりします。

苦肉計は、心のそこから自虐することがポイントで、そこを演じきる必要があります。中途半端なプライドなどを残すと、世間の目はごまかせません。

昔は、自分の娘を差し出したり、腹心の部下を切り捨てたりとひどいことをしたものです。しかし、そこまで演じきらなければ、信用させることは難しいのも事実です。

苦肉計は、ほとんど完全に負けている時の作戦です。しみったれ根性などは捨てて、謝るなら、腹を据えて心底本気で謝りましょう。

それでこそ、起死回生の一発が狙えるというものです。