"技術力を活かすための"業務知識がシステムエンジニアに必要なわけ

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昔からシステムエンジニアには業務知識が必要と言われてきた。それは間違いないのだが、なぜ業務知識が必要なのだろうか。

以前、照会に10分もかかる遅くて使い物にならないオンライン画面があった。その画面は検索条件に機種コードと組立部品番号を入力すると、その構成部品の一覧を表示するというものであった。レスポンスタイムを確保するために1頁に表示する構成部品の数は最大100件に制限を設けていた。

それにもかかわらず応答に10分も待っていなければならないので、実務上は使い物にならなかった。この画面を開発したベンダには性能改善を申し入れていたが1年以上改善できなかった。

解決の兆しが見えないので、私がソースコードを解析することにした。まず最初に確認したのはデータベースから検索条件に合致するデータを取得する部分だった。

取得の方法は、まず検索条件となった組立部品番号とその構成部品を結合して仮想表を作成し、その仮想表からさらに検索条件となった機種コードに合致したデータを抽出するというものだった。

この方法では最初の組立部品番号とその構成部品を結合した仮想表が数百万件になる。同じ組立部品番号や構成部品が複数の機種で使用されているからだ。（これが業務知識）

そこで初めに機種コードで組立部品番号と構成部品を絞り込み、その結果に対し結合を行い仮想表を作成するように変更した。その結果、応答時間は10秒以下に激減した。

ユーザからは「いったいどんなマジックを使ったのか？！」と驚かれ感謝された。

一方、ベンダのシステムエンジニアになぜこのような改善ができなかったのだろうと聞いたところ「業務知識が足りませんでした。」と答えた。

彼は優秀なベテランのシステムエンジニアで、データベースの操作には長けていた。しかし、性能を改善するために必要な業務知識が不足していたということだ。

いや、もしかしたら業務知識もあったかもしれない。しかし、その業務知識とデータベース技術を結びつけて性能を改善するという問題解決力が不足していたのかもしれない。

「同じ組立部品番号や構成部品が複数の機種で使用されている」という業務知識から、じゃあ先に機種コードでデータを絞り込んでから結合した方が効率的になると気が付く力だ。

データベースに対する技術力とそれを活かすための業務知識、この両者がシステムエンジニアには必要になる。「同じ組立部品番号や構成部品が複数の機種で使用されている」という業務知識だけあったとしても、システムエンジニアリングに活かせなければ宝の持ち腐れになってしまう。

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　●企業システム戦略　五輪書　水之巻　心持の事（続）
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身体の小さい者は、大きい身体の者についてよく知り、身体の大きい者は、小さい身体の者についてよく知り、大身も小身も心を真っ直ぐにし、自分を贔屓目に見ないように心をもつことが肝要である。