システム規模に応じたリスキリングを!教育の投資対効果を最大化するために

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ある企業が巨額の教育投資をして社員のリスキリングを進めるという記事があり、その教育内容についてSNSなどで話題になっていた。「ちょっと難しいのでは。。。?」という趣旨で多くのコメント

私も情報処理技術者試験の高度区分合格者として、そう思わずにはいられないフシがある。

例えば、全正社員に求める「レベル1」では、「ITパスポート」を取得させ、システムの要件定義で意見を述べたり、ベンダーから納品されるシステムの検収をしたりできるようにするとあった。

一方、情報処理推進機構の「ITパスポート」では、ITを正しく理解し、業務に効果的にITを利活用することのできる“IT力”が身につきますと謳っている。つまり、ITを使いこなせるようになりますよと言うだけで、システムの要件定義や検収ができるようになるとはなっていない


さらに、「レベル2」では、1億円未満のシステム導入案件を指揮できるようにする。システムで効率化したい業務を可視化し、導入効果まで算定できるスキルを求めるとあった。それを正社員の7割に当たる数千人を3年でリスキリングするという。

しかし、情報処理技術者試験の技術水準では、金額規模にかかわらずプロジェクトを指揮するには、プロジェクトマネージャの合格レベルであり、業務の可視化や導入効果算定ITストラテジストの合格レベルである。

これらの高度区分の合格者は毎年全国で1,000人前後、合格率は十数%となっており、IT企業の技術者でも簡単に合格できるようなものではない。


この会社のリスキリングは、情報処理推進機構のITスキル標準DX推進スキル標準ズレているように感じた。そして、同じようなコメントがSNSにもたくさん流れていた。

やはり、システム規模と組織能力のバランスは重要だ!

そのバランスによって戦い方も変わってくる。組織能力が小さいにもかかわらず、大規模なシステムに挑むのは無謀ともいえよう。そうならないためにはシステム規模に応じたリスキリング、組織能力向上が重要になる。

情報処理推進機構のITスキル標準やDX推進スキル標準は、その指針を示したものであるから、リスキリングを考える上で非常に有用である。これらを参照することで目標とするシステム規模と必要なリスキリング、組織能力の整合性を図ることができる。

この整合性がとれれば、リスキリング教育の投資対効果を最大化することが可能となる。



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 ●企業システム戦略 孫子の兵法 謀攻篇 その5
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「用兵の法は、十なれば則ち之を囲み、五なれば則ち之を攻め、倍なれば則ち之を分かち、敵すれば則ち能く之と戦い、少なければ則ち能く之を逃れ、若かざれば則ち能く之を避く。故に小敵の堅は、大敵の擒なり。」



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