システム運用は利害関係者に利があることを示し、自ら運用する方向に向かわせること

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●企業システム戦略孫子の兵法　虚実篇その２
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「よく敵人をして自ら至らしむるは、これを利すればなり。よく敵人をして至るを得ざらしむるは、これを害すればなり。

故に、敵佚すれば、よくこれを労し、飽けば、よくこれを餓えしめ、安ければ、よくこれを動かす」

常に敵を自ら向かわせるのは、これに利があるからだ。常に敵を向かわせないのは、これに害があるからだ。

故に、敵が楽をすれば、常に疲れさせ、満足して飽きたら、常に飢えさせ、安住していれば、常に動かすことである。

Ｄ．カーネギー（著）の「人を動かす」に、”人を動かす原則３強い欲求を起こさせる”というのがあります。

相手をそちらに向かわせるには、利があることを示し、向かわせないようにするには、害があることを示す。

人は、利害に対して強い欲求を起こすものです。損得勘定という低次元な利害だけでなく、自己実現という高次の利害も含めて

ＰＭＢＯＫでも、利害関係者（ステークホルダ）の調整は、ステークホルダ管理、コミュニケーション管理やリスク管理での重要なタスクの一つとなっています。

今日の情報システム構築においては、プロセスやルール・組織など、企業システムへの変更も同時に行う必要があります。

このときに、利害関係者の調整を誤まると、要件定義が錯綜し、例え、情報システムが完成しても、運用で頓挫します。

全体最適とは掛け声ばかりで、いざとなると個別最適に固執するパターンです。（理念先行型失敗）

これは、利害関係者が自らの利害に対し、納得して動かなければ、情報システムは使われないか、意図したように機能しないからです。

例えば、在庫を削減したい資材部門と納期を短縮したい営業部門この相反する利害を調整し、それぞれが協力的に動けるように、利害を示さなければ、ＳＣＭという企業システム及び情報システムは、有効に機能しません。

あるいは、図面の発行をギリギリまで遅らせたい設計部門と、できるだけ早く先行でも図面が欲しい製造部門との相反する利害を調整し、それぞれが協力的に動けるように利害を示さなければ、コンカレントエンジニアリングやＰＬＭという企業システム及び情報システムは有効に機能しません。

人を動かすために、その利害を相手の立場で考え、心に強い欲求を起こさせることができれば、上々です。

故に、そのような利害を意図的に発生させることも考えましょう。（精神的に疲れさせたり、飢えさせたり、揺り動かしたり）

例えば、ＳＣＭ率（在庫量と納期のバランス）のような新しい評価指標を設けて、資材部門も営業部門も同じ土俵で評価するように企業システムを変更した上で、ＳＣＭシステムを運用する。

こうすることで、両部門に在庫と納期のバランスをとることに対する同じ利害が発生し、自ら協力関係に向かわせることができます。

あるいは、ＳＣＭシステムを本格的に導入する前に、小さな部分で改善を初め、ＳＣＭに対する利害を、利害関係者に現地・現実・現物で示す。

こうすることで、ＳＣＭに対する強い欲求を起こさせることができれば、ＳＣＭシステムが有効に機能するよう、自ら行動するように仕向けることができます。

どのような活動やプロジェクトであっても、大義名分が明らかで、その大義名分と個々人の利害が一致し、心底強い欲求を起こさせることができれば、人を動かすことが可能になるのでしょうね。