◆過失相殺
欠陥と仕様変更は必ず発生する。欠陥の場合は、業者側に修繕義務や損害賠償責任が発生する。仕様変更の場合は、発注側に追加発注という費用負担が発生する。そこで、両者の過失を相殺するというのは、いかがだろう。つまり、欠陥に対する損害賠償費用と、仕様変更に対する追加費用を、差し引きゼロにするのである。
できれば、問題が発生してからではなく、最初の契約時点で取り決めをしておけば、欠陥や仕様変更を抑制する効果も期待できる。業者にとっては、欠陥を多発すれば、本来は仕様変更で追加費用をとれるものも、とれなくなってしまう。また、発注側にとっては、欠陥に対する損害賠償を請求できるところも、仕様変更によって請求できなくなってしまう。欠陥が少なく、仕様変更が多ければ、発注側に余分に費用が発生するし、欠陥が多く、仕様変更が少なければ、業者側に余分に無償作業が発生する。そのようなことが、最初から分かっていれば、損しないように気をつけようというのが心理だ。
それでも、やはり仕様変更か欠陥か、調整がつかないようなことがある。この場合には、 双方が意固地になり、もう理屈ではなくなってくる。平行線をたどってムダな時間を浪費するより、どうしても必要な機能ならば、改修に必要な費用を折半するなどして紛争を解決する道を探ったほうが得策だ。とにかく、システム構築を前に進めて、使えるようにすることが、本来の目的である。
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