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●企業システム戦略 五輪書 水之巻 五方の構の事
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「五方の構えは、上段、中断、下段、右脇、左脇がある。構えは５つに分けるとも、人を斬るため也。
いずれも、構えると思わず、斬ることなりとおもうべし。構えの大小は、状況に応じて利に従うこと。
上中下は基本、左右は応用の構え。
極意に言う最善の構えは中段にあると心得るべし。中段は大将の座、そのつぎに、あと四段の構え也。」
兵法における構えについての解説ですが、兵法に限らず、「構え」は大切です。また、身体の構えだけでなく、心構えというのもあります。
企業システムにも、いろいろな構えがあります。業態、社是、戦略、組織構成、ビル、工場、人材、情報システムなど、その企業システムの「構え」を表したものだと考えられます。
いずれにしても、構えそのものが大切なのではなく、人を斬る、つまり、ビジョン（目的や目標）を達成するために構えがあるということですね。
ですから、構えそのものに気を取られるのでなく「斬ることなり」、すなわち、目的を達成するぞ！という気構えが大切なのだと思います。
そのような気構えで望むのであれば、構えそのものは一つに固着せず状況に応じて、利に従えば、自然と構えが決まるわけです。
状況変化に疎く、目的（斬ること）と手段（構え）を取り違えて構えに固着している企業より、状況に合わせ組織構造や業態までをも変化させていける企業システムが強いのではないでしょうか。
そのようなことを情報技術でサポートしようというのが、ＥＡや、ＢＰＭ（ビジネスプロセスマネジメント）、ＳＯＡだと思います。
最大の問題は、人の「心構え」です。自己防衛本能が働き、現状に居着いて変化に抵抗します。
業態、社是、戦略、組織構成、ビル、工場、人材、情報システムなど、いずれもビジョンを達成するためのものであり、立派なビルや工場を「構える」ことが目的ではないはずです。
そして、構えの基本は中段にあります。
例えば、製造業ならものつくりの中心となる生産管理。その上下にPLMや生産計画、生産準備、調達、アフターサービスなどがあり、左右には営業や販売、そして財務などといった感じです。
状況の変化に応じて、いずれにも変化しやすい位置に構えをとるのが極意です。そして、一旦、変化した後は、また中段に戻ることが大切です。
これは、構えや心が「居着く」ことを嫌うためです。居着くと、平常心が失われます。そうすると、次の変化への対応が遅れます。
テニスや卓球でも、打った後は、必ず、元の構えに戻りますね。
中段の構えは、平常心を体現したものなのです。ですから、中段は大将の座なのです。大将が真ん中に肝をすえて座す構えを取ることで、中心が定まるので、あとに従うものが縦横無尽に動けるわけです。
大将が上下左右にふらついていては、従うものは心もとないです。
また、基幹システム（大将）が、基幹データベース（中段の構え）をしっかり保持していれば、プロセスやユーザインターフェースは、自由に変更が可能であり、必ずしも再構築の（構えを崩す）必要は
ありません。
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