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●企業システム戦略 兵法三十六計 併戦の計 第二十五計 偸梁換柱
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偸梁換柱（とうりょうかんちゅう） 「梁を偸（ぬす）み、柱に換（か）う」。
梁に使うような太さの木材を誤って柱に使えば建物が倒壊してしまうことから、敵国の王や重臣が無能な人間に入れ替えられるように工作して弱体化すること、あるいは、陽動作戦を繰り返して敵の布陣を崩し、自軍が攻撃しやすい「梁」の部分を生じさせることを言う。
さらには、敵の布陣の「柱」の部分を同盟軍や第三の敵軍に押し付けてしまい、自軍の相対的立場をさらに優位にすることを狙った戦術を指すこともある。
しきりに敵に陣形を変えさせて精鋭の主力部隊が我慢できなくなって暴発させ、焦って自滅するのを待ち、それに乗じて撃破する。
車輪さえ押さえてしまえば車の行く先をコントロールできるのと同じことである。
出典：フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』より
抵抗勢力を手中に収めるには、キーマンを狙えという作戦です。
組織の大小にかかわらず、その組織の中で、発言力を持ち、行動をリードしている人（柱）がいます。それは、必ずしも組織体制上の役職とは限らないですし、そうであることもあります。
したがって、役職にとらわれずに、実質的なキーマンを抑えることが重要です。
特に役職上ではなく、皆の信望を集めているキーマンとのコンタクトを怠ったり、敵に回したりしないことです。
もし、そのような事態になれば、業務改善にしても、システム導入にしても、ほぼ５０％は失敗します。キーマンが納得していなければ、他のメンバも、面従腹背の態度をとり、様々な活動は骨抜きになります。
特に情報システムの導入では、このような失敗も少なくありません。
要件定義などの初期に、現場キーマンの参画を忘れ、プロジェクトチームだけで進めてしまい、いざ、実用開始の段階で、キーマンが抵抗勢力となり、システムの運用を阻むというものです。
しかも、システムというのは脆弱なもので、あたかも使っているようにみせて、いいかげんなデータを入力したり、不適切なタイミングで入力したりすることは、いとも簡単です。
現場が、そのように面従腹背の態度でシステムを拒絶していることを知らず、システムを導入したから経営改善ができていると上層部やプロジェクトチームが信じ込んでいるなら、それこそ、裸の王様です。
キーマンをはじめ、現場は舌を出していることでしょう。
逆に、抵抗勢力の中心となりそうなキーマンを押え、彼を、改善やシステム導入のプロジェクトに巻き込み、単に反対するだけでなく、どのようにしたいのかを初期のころから意見を出してもらうのです。
そのようにすることで抵抗勢力となるどころか、システムが完成した暁には伝道師となって、現場を先導してくれるでしょう。
このように、内科的（対処療法）な偸梁換柱では、どうしても問題が解決しない場合は、いよいよ最後の手段です。
つまり、外科的な偸梁換柱の作戦です。
問題の核心となっているキーマンやトップを更迭して、別の人を送り込みます。その人が中心となって、新しい仕事のやり方や文化を広め、既存の組織・文化を壊していくことになります。
その昔、システムのデータベース管理ソフトを置き換える時に、同様の作戦をとったことがあります。
単純にデータベース管理ソフトを置き換えてしまうと、各アプリケーションを修正しなくてはなりません。そこで、データベース管理ソフトの内部的な核となる、入出力モジュールを置き換えることにしました。
物理的なディスクへの読み書きを司る部分のモジュールを新しいデータベース管理ソフトへアクセスするようにし、モジュールごと置き換えたのです。
これによって、アプリケーションはほとんど修正することなく新しいデータベース管理ソフトに移行することができました。
今であれば、ちょうどＪＤＢＣドライバを入れ替えることで、ＤＢＭＳを自由に変更できるのと同じです。
この作戦のキモは、柱（核）となる部分を押えることにあります。
柱ではない、中途半端な人や部分に手を出すと、かえって薮蛇になります。下手をすれば、四面楚歌、泥沼の戦いとなり、”チェンジ！”の成否は、５分５分となりましょう。
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