俊敏なシステムに構造を最適化せよ！

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小さなシステムを俊敏に動かすことはそれほど難しくはないが、大きなシステムを小さなシステムと同様に俊敏に動かすのは容易ではない。

情報が伝わりにくい、コミュニケーションミスが多くなる、小回りが利かないなどがその主な要因である。

そこで大きなシステムを俊敏に動かすためには、情報伝達が素早く確実に行えるようにして、その情報に即応して動けるように構造を最適化する必要がある。

チームの最少人数単位は昔から７人程度が最適であると言われている。また、構造化プログラミングにおいてはモジュールの最小単位は１機能であるのが良いとされている。

この７人１チーム、１機能を最小構成として、いくつかのチームを組合わせて階層化することで大きなシステムの構造を最適化することができる。

ただし、単純に階層化してしまうと階層が深くなるので注意が必要になる。その場合は、いくつかのチームをフラットに配置して、相互に連携を図りながら動くように構成する。

その場合も多くても７チームをひとくくりにして、より抽象化された機能は単一であることが望ましい。あまり相互に関連の無いチームやモジュールを寄せ集めてしまうと雑多な機能の寄席集まりとなり構造が分かりにくくなる。

サブチームやサブーサブチーム、サブモジュールやサブーサブモジュールなどを作りすぎるとメインの流れは一見、シンプルになるが、実際に全貌を把握するためには階層深く調べる必要があり逆に見通しが悪くなってしまう。（ノーコードのGUIツールでは特にその傾向がある）

構造が分かりにくくなると情報伝達やコミュニケーションがスムーズに行えず、ベクトルも合わせ難くなるので必然的に俊敏に動くことが難しくなる。

構造がシンプルでチーム間のインターフェースが分かりやすければ。疎結合となり相互依存性が弱まるため、各チームの自由度を阻害することなく俊敏に動くことができるようになる。

大きなシステムこそ構造を複雑化せずにシンプルに設計することが肝要である。

古くて大きなシステムは、長年の運用によって構造が複雑化することで、むしろ情報伝達やコミュニケーションが滞り、相互の依存度や結合度が高くなった結果。がんじがらめで身動きが取れなくなっていることが多い。

この点は運用する上で、改善のつもりが逆に構造を複雑化することのないよう注意が必要である。こういったことは、最新のデジタル技術を活用する場合も変わりはない。

むしろデジタル技術を使うことでより多くの情報、複雑な情報を素早く伝達できるために、システムの構造が複雑化するという弊害もある。それでは、情報に縛られる、情報に振り回されることとなり、俊敏に動けなくなってしまう。

DXなどでシステムや組織を変革する場合、それまでの複雑化、巨大化した構造を見直し、俊敏なシステムに構造を最適化した上でデジタルを活用するのがスマートである。

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●企業システム戦略　孫子の兵法　兵勢篇　その１
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衆を治むること、寡を治むるが如くなるは、分数これなり

大軍を統治していても、少人数を統治しているかのようであるのは、組織編制（分数）がそのようになっているのである。