事件や事故、利害衝突など混乱が生じるとどうしてもそちらに気が撮られて油断してしまいます。そのスキに乗じてささっと利を得てしまおうという作戦です。あるいは、意図的に混乱を引き起こして注意を向け、そのスキを突くという作戦です。
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●企業システム戦略 兵法三十六計 勝戦の計 第五計 趁火打劫
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趁火打劫(ちんかだこう)
「火に趁(つけこ)んで劫(おしこみ)を打(はたらく)く」
敵の被害や混乱に乗じる、いわゆる火事場泥棒の計略。
敵の国内に害があればその土地を奪い、国外に害(外患)があればその民を奪い、内外に害があれば国ごと奪え、と言う。謀って「火事」を自作自演で引き起こすことも含む。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
つまり、”火事場泥棒作戦”などというとなんだか気が引けますか。
でも、効率的、確実に勝つには、これも有効な方法であることには、違いありません。
日本人的な潔いさとかは、勝敗において論理的な意味をなさないのです。
どんなに正々堂々、潔く負けてもそれは、賢明なリーダのすることではないというのが中国の兵法哲学です。
中国だけでなく、勝つことに徹した宮本武蔵も同じです。
さて、火事場泥棒というのが気が引けるなら、もう少し、掘り下げてみると。
何か大きなことに注意を向けて、その隙をつくという作戦。
あるいは、何か他ごとに気をとられている間に、目的とするところを成し遂げる作戦。
そのように考えて見てはどうでしょう。
例えば、新しい商品が売れるかどうかを喧々諤々、議論している間に、サンプル商品をくばって市場ニーズに既成事実を作ってしまうとか。
あるいは、新しいグループウェアを何にするか喧々諤々、議論している間に、評価版を配布して皆に使ってもらい既成事実を作ってしまうとか。
ソフトウェア業界でいうところのデファクト・スタンダードなども同じです。
ISOなどの標準化団体が、喧々諤々、議論している間に、製品を先に市場に投入して、その製品が事実上の標準である既成事実を作ってしまうのです。
ブラウザ戦争では、ネットスケープがIEに、IEはChromeやられましたね。
無線LAN規格もそうです。
ISOが標準仕様を決める前に、ドラフト時点で製品が市場に出回ってしまい、これが既成事実となっています。
社内システムの導入や業務プロセス改革でも同じようなことで、突破口を開くことができます。
議論しても要件がなかなか決まらなかったり、利害関係者間の調整がつかない場合、さっさとシステムを作って試行し、既成事実を作ってしまうのです。
このためにも、アジャイル手法や反復型開発を活用しましょう。
火の手が上がっている間に、さっさと作ることがミソですからね。
その際、細部に凝らないことです。
SaaSやクラウドなども活用できます。
IT設備を固定資産として投資しなくても、新システムをさっと立ち上げることができ、ダメなら減価償却など気にせず中止できます。
このように、検討チームが議論に火花(火事?)を散らしている隙に、先に既成事実を作ってしまうというのも、議論が膠着したり、議論ばかりで一向に先に進まないような状況を打破するには、時に、荒療治が功を奏します。
ただし、毎回、こんなことばかりやっていると、周りが敵ばかりになってしまうかもしれませんので、ほどほどに。
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