失敗が判明したら力の残っているうちに速やかに撤退して起死回生の一発逆転を狙う作戦

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●企業システム戦略　兵法三十六計　敗戦の計　第三十六計　走為上
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走為上（そういじょう）「走（に）ぐるを上（じょう）と為（な）す」

逃げるのが最善の策である。（勝ち目が全くないなら）全軍をあげて敵を避ける。

勝利が不可能と認識したときに退却して損害を回避できるのは、指揮官が冷静な判断力を失わずにすんでいるからこそ可能なことである。

敵と戦闘できないような状況においては、降伏してしまうか、停戦（和）を請うか、逃走するかである。

降伏は（以後は敵の意のままにされてしまうので）完全な敗北である。

停戦は（交換条件を与えねばならないから）半分敗北したことになる。

しかし逃走して勢力を保ったならばそれは敗北ではなく（形勢逆転が可能であるのだ）。

全軍敵と戦わずに退却する。軍勢を失わなければ撤退しても咎められない。

出典：フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』より

いざとなったら、逃げるのが一番という作戦

リスク管理の世界でも、「回避」というのが一番です。危険なことは避けましょう。プロジェクトが危機的状況になったら、撤退するのも作戦の一つです。

戦争にしろ、プロジェクトにしろ、はじめることと、この終わらせることが一番難しい仕事かもしれません。

そして、トップだけが成し得る仕事です。

こればかりは、いくら下がどうこう言おうと、進め！、退け！の最終決断は、トップにしかできません。

そう考えると、負け戦でありながら、この決断のタイミングを誤って、破滅しているプロジェクトは少なくありません。

ここでいう「逃げ」（回避策）は、ボロボロになって、どうしようもなくなってからしかなたなく逃げに追い込まれるのではありません。

それでは、追い討ちをかけられ、完膚なきまでに叩きのめされてしまいます。

そうではなく、あくまで作戦として一時的に撤退するわけですから、形勢逆転を狙うために、戦力を残した状態でなければ意味がありません。

あきらかに負け戦と分かっているのに、メンツに拘ったり、決断を渋ったりして、人や組織が壊れるまでダラダラと続けるべきではありません。

そんな状態まで引き伸ばせば、結局、終わるものも終わらなくなります。

なぜなら、人も組織も壊れてしまえば、最後は、「そして誰もいなくなった。。。」

ＴｈｅＥＮＤです

それよりは、まだまだ、体力もモチベーションも残っている時に、一旦、中断、撤退して、挽回のチャンスをうかがえばよいのです。そして、千金一隅のチャンスが訪れた時に、一気に形勢逆転をはかりましょう。

この逃げの時期は、プロジェクトの最後だけでなく、途中にも何度か訪れます。

例えば、ＩＴプロジェクトなら、要件定義が錯綜し収拾がつかなくなった時。設計が混迷し分けが分からなくなった時。プログラムのバグが多発し、収束しない時。試験がいっこうに進まず、先が見えない時。本番移行後に、障害が発生し混乱した時。

いずれも、無理やりゴリゴリと推し進め、泥沼化するより、適切な時期を見計らって、一旦、ＳＴＥＰ１として終息させることです。あるいは、元に戻ることです。

重要なのは失敗や負けを認めて、真摯に振り返ること

一息ついて、鋭気を養い体制を立て直しましょう。そして、冷静になって状況を整理して、ＳＴＥＰ２の始動時期を見極めましょう。

進退の最終決断をする人は、逃走・撤退・回避という作戦と、敗北とは違うものだということを忘れないようにしましょう。

真の勇者は、適時に正々堂々と逃走・撤退・回避できるからこそ、決して敗北しないのです。

まだまだ、日本には太平洋戦争末期の痛恨に学び、中国兵法のしたたかさを学ばなければならない経営者やプロマネや責任者が少なくないと思います。

企業システム戦略において、価値最大化を図り、持続的成長のためには、適時に進退を決断し、決して”敗北”しないようにしましょう。