真の要求や隠れた潜在的要求を引き出すには、無知を装うことも有効

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●企業システム戦略　兵法三十六計　併戦の計　第二十七計　仮痴不癲
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仮痴不癲（かちふてん、痴を仮りて癲わず）

愚か者を装って相手に警戒心を抱かせず、時期の到来を待つ。

「痴」は、将本人の痴呆や老衰など演技することも指すが、愚かな作戦行動を故意に行うことや、軍事力を隠蔽して低く見せることで敵を油断させて後に叩く戦術も指す。

偽装は「痴」によらなければらならない。「痴」つまり「知らない、分かっていない、気づいていない」を前提にしつつ、振舞いとしては合理的である（ただし愚かな結果にはなっている）ほうが、第三者から見て自然であるため、より敵を欺きやすい。

無理に知っていると思わせてみだりに振る舞うよりも、むしろ、偽ってでも知らないと思わせて行動を控えたほうがよい。動かずにいて相手に付け入るスキを与えないためだ。

それは雷雲がじっくり力を蓄えて時機がくるのを待っているのに似ている。

出典：フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』より

似たような諺に、”能ある鷹は爪を隠す”というのがありますが、この作戦は、隠すよりさらに能動的で、愚を装って、相手を油断させる作戦です。

織田信長が、父の葬儀で位牌を投げたのも、愚行によって、配下の腹心を探るためだったという説もあります。

賢く巧妙な相手には警戒心を抱き、愚かなものには油断してしまうのが人情ですね。

何でも知っていて、優秀でスキの無いリーダより、どこか間が抜けていて、人のよいリーダのほうが
慕われていたりするのも、うなずけます。

しかし、それが天然であったならば、ちょっと頼りなくもあります。

しかし、意図的に間の抜けたところを見せて、場の雰囲気を和やかにすることのできるリーダは、素晴らしいですね。

時々、これを狙ってギャグを飛ばしたものの、場の雰囲気を寒ーくしてしまう人もいますが。。。

組織を指導するにも、正論ばかりを言うのでなく、時には、自らの失敗談を話せるリーダには、
心を許しやすいものです。

油断するというのは、心を許すということですから、組織の結束を固めるにもこの作戦は、有効だということですね。

また、議論の場で、ワザと知らないふりをすると、ここぞとばかりに、自分の知識をひけらかして墓穴を掘る人もいます。

知らないことを、知った振りして自ら墓穴を掘るくらいなら、何も知りませんという顔をしておきましょう。

技術レビューなどでも、新しい技術などに取り組む場合や、設計結果の妥当性について、知らない振りをすることがあります。それに対し、知った振りをして、いい加減な説明をする人はいただけません。

事実に基づいて分かっていることだけを説明し、分からないところは、素直に、再度調べますという人は、まじめで信用が置けます。

要求分析のヒアリングなどにおいても、現場、現物、現実を踏まえてのニーズもあれば、単なる思いつきのニーズもあります。そのような場合も、何も知らない振りをして、ヒアリングをすることがあります。

こちらが、現場を知らないと思って、好き勝手なことを言う人もいれば、そうでない人もいます。

一通りヒアリングをした後で、”現場で見た限りでは、こうでした。”と切り出すと、好き勝手を言っていた人は、大抵、要求を取り下げるか、再検討することになります。

このように、真に価値のある要求や隠れた潜在的要求を切り分けるには、しっかりと現場、現物、現実を抑えておき、その上で、何も知らない顔をしてヒアリングするとよく分かります。

思いつきで話をしていた人も、次回からは、そのような要求は出さなくなります。

本当のことを知りたければ、愚を装って、相手の警戒心を解き、心の壁を取り払うことです。ちょうど、”北風と太陽”の寓話に出てくる太陽のように。

自らを愚かに装うというのは、相手の警戒心を、ポカポカ暖めることにほかなりません。

そうすると、人は重たい心の鎧を脱いで、本心をさらけ出してしまうという次第です。