相手の手段に自分の手段を粘るように密着させ動きを封じ込める戦術

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●企業システム戦略　五輪書　水之巻　ねばりをかくるという事
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「敵も打ちかかり、こちらも打かかり、敵がこちらの太刀を受けた時、自分の太刀を敵の太刀に接着させて、”粘る”という感じで入る。

粘るというのは、太刀が簡単には離れない心持、あまり強すぎない心持で入るべし。敵の太刀につけて、粘りをかけて入る時は、どれほど静かに入ってもかまわない。

粘るということと、もつれるということは違う。粘るのは強いが、もつれるのは弱い。この区別をわきまえよ。」

「しつこうの身」や「たけくらべ」が、身体を相手に寄せていく戦法であるのに対し、こちらは、太刀を密着させていく戦法です。

相手の太刀に、自分の太刀を”粘る”感じで密着させて、相手の太刀の動きを封じ込めようというものです。

組織文化や内部プロセスをベンチマークして、自社に取り入れていくのが「しつこうの身」だとすれば、こちらは、それこそ類似商品とでもいう戦法でしょうか。

競合他社の類似製品を分解して、自社製品の改善を図る手法として「ティアダウン」というのがあります。

ベンチマークが、外側から情報を収集して分析する手段とすればティアダウンは、製品の内側から情報を収集する手段ですね。

収集した情報から、何を読みとり、どう活かすのかと言う点で読み・書き・そろばんという高度な情報処理活動です。

そして、この情報活動は静かに潜行して行われます。

この情報処理に、ＩＴを活用することで、膨大な収集情報を効率的に蓄積・整理し、分析することができます。

さて、競合他社の商品とよく似た商品を開発して、同じように市場に投入していくという戦法をとっている会社を見かけますね。

２番手戦略とも言います。１番手を行くのはリスクが大きいので、２番手を狙います。

１番手は、常に新しいものをリスクを負って開発していかなければならないので、息切れしてしまいます。

そして、２番手は相手よりも開発費の分だけコストダウンして安く商品を投入し、後発で市場を奪ってしまうというものです。

ある意味、情報処理能力に長けた会社でもあります。

日本の高度成長は、アメリカの模擬による２番手戦略のたまものだったようです。アメリカに執拗に粘り、追いつけ追い越せとやってきたわけですね。

日本は、すでにあるものから情報収集し、学び、改良することが得意な「ものつくり」だったのかもしれません。農耕民族ですからね。土地を離れず、粘って、品種改良するのが得意なんですよね。

その意味では、内向きの情報処理能力には長けているのでしょう。狩猟民族のような、外向きの情報処理能力は欠けているようです。

ところが、自動車の輸出をはじめとするアメリカの貿易赤字、日本の貿易黒字という構図が見えてくると日本の粘りが、アメリカともつれるようになってきました。

相手に粘りついているのか、相手ともつれているのかよく区別をしないと、相手の動きを封じるどころか、もつれあって徒労に終わるだけかもしれないので要注意です。

これからの国際社会で生き延びていくには、外向きの情報処理能力も高めていかないといけませんね。

ティアダウン導入ガイド―短期間でコストダウンを実現する