物理的なリソースの限界は、仮想化や組み合わせテクニックで突破せよ！

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●企業システム戦略　兵法三十六計　併戦の計　第二十九計　樹上開花
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樹上開花（じゅじょうかいか）「樹上に花を開(さか)す。」

小兵力を大兵力に見せかけて敵を欺く計略。

1000頭あまりの牛を極彩色に塗装した上で、その尾にたいまつを縛りつけて敵陣に突進させ、（亡霊のように）派手に仮装した5千の兵を牛の後に従わせて夜襲。

さまざまな場面で勢いを高め優勢に見せかければ、弱小の戦力でも強大に見せることができる。

雁が空を飛ぶ姿を見るがよい。翼をいっぱいに広げて意気盛んな様を示しているではないか。

出典：フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』より

小さなものを大きく見せる作戦。

スーパーなどで、よく見る”底上げ”ですかね。というのは冗談ですが。

こういった作戦は、限られたリソースを最大限に有効活用する意味で、重要な考え方です。

例えば、コンピュータの世界は、常にリソースとの戦いの歴でもありますが、古くは、IBMメインフレームの多重仮想空間。

実際に搭載している物理メモリを、高速にページ単位で入れ替えるなどして、仮想的により大きな多重仮想空間を創りだします。

同様の仮想空間は、WindowsやUNIXでも実現されています。しかし、まだ、独立した多重空間ではありません。

他に最近では、グリッドコンピュータなども、小さいコンピュータを集めて、大きな計算能力を実現しています。

これは、雁の群れや鰯の大群のようなものです。

見かけ上、というこでは、Ajaxなどもそうです。

表示するのと非同期に裏側でデータ処理を行い、見かけ上のレスポンスを良くして、スムーズな操作感を提供する技術。

有名なところでは、Googleマップです。

これを、プレゼンでやるツワモノもいるそうです。

どんなことかというと、プレゼンの時に、

”これには３つの考え方があります。”
”それは、ＡとＢとＣです。”

などとしゃべりながら、そのＡとＢとＣの内容を裏で考えて、

”それで、Ａというのは。。。”と後付けでアドリブの説明をするのです。

これができると、準備した以上のプレゼンができます。

その他には、マッシュアップなども、見かけ上の技術といえそうです。

これは、すでにあるいくつかのＷｅｂサイトを組み合わせて、より多くの画面を提供するものです。

実態としてのシステムは３つしかなくても、マッシュアップにより組み合わせることで、見かけ上、提供できる機能を簡単に増やすことができます。

ＳＯＡなどの目ざしているところも同じです。

こういった組み合わせの技術を使うことで、裏のシステムを実体として統合するまでのリソース抑制や時間稼ぎもできます。

プロセスの面でも、アジャイルや反復開発というものが出てきています。

これは、短期間に優先度の高いものから、少しずつ動くソフトをリリースしながら反復して開発するものです。

今まで１００人月なら、１０人でも１０ヶ月待たなければ、顧客は動くソフトに全く触れることはできません。

しかし、アジャイルであれば、１～２週間ごとに動くソフトがリリースされるので、結果的に、のべ開発期間が延びたとしても、動くものが早い段階からリリースされるので少ない開発リソースでも、高い顧客満足を得ることができると考えられます。

このように見てみると、コンピュータの世界では、昔から、少ないリソースで、より多くの要求に応えるための仕組みが考えられてきています。

コンピュータ以外の世界では、モジュラーデザイン／マスカスタマイゼーションという開発手法があります。

これは、標準化・共通化された部品を組み合わせて、多種多様なバリエーションを生み出し、より多くの顧客の個別要求仕様に対応しようという考え方です。

個別要求仕様に合わせて、全てをゼロから設計するのでなく、あらかじめ設計された部品を組み合わせることで、見かけ上、より多くの製品仕様を実現するものです。

価値観が多様化した顧客要求に、より少ないリソースで効率的に対応していくには、今後、このような見かけ上の技術や工夫が、ますます重要になってくると思われます。

実体が１０のものを、１００あるように見せかける技術すなわち”樹上に花を開(さか)す”技術といえましょう。

ただしこれは、”底上げ”のような稚拙な見掛け倒しではなく、

良い意味で顧客を欺くもので、欺かれた顧客も、裏側の仕組みがどうあれ、要求を満足できて、より安価で、早ければ、それにこしたことはありません。