良い仕事、良いシステム、業務品質を確保するには、どのようなことを心得ておけばよいでしょう。それを大工さんの仕事に例えて著したのがこの節です。武蔵は、最後に帳尻合わせだけするような仕事のやり方ではなく、本質的にまっすぐであることインターフェースをしっかりとることを心得ると良いと言います。
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五輪書 地之巻 兵法の道 大工の心得(続)
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「仕事がゆがまないこと、留めをあわせること、かんなでよく削ること、すり磨かないこと、あとでゆがまないこと、これが肝要である。
兵法の道を学ぼうと思うならば、これらの心得を一つ一つに念を入れ、よく吟味しなければならぬ。」
大工の心得(続)です。
「これらの心得を一つ一つに念を入れ、よく吟味しなければならぬ。」
と武蔵は言います。
それでは、この武蔵の言葉を企業システム戦略を学ぶものとして
一つ一つに念を入れ、よく吟味して見ましょう。
「仕事がゆがまないこと」
仕事がゆがまないというのは、大工さんであれば、もちろん柱や床など
が真っ直ぐになっていることだと思います。
どんな仕事であっても、その成果が、真っ直ぐでゆがんでいない
というのは、基本ですが、難しいことです。
入力、処理、出力が、それぞれ正しくないと、正しい仕事にはなりません。
出力のゆがみを一生懸命直そうとしているのに、入力のゆがみには無頓着であるケースも、
よくみられます。
納期どおりに物が出来ない、在庫が欠品するといって、
生産現場や生産管理システムを責めるのですが、
そもそもの入力(受注納期や生産計画)がゆがんでいることに
気が付きません。
「ゆがまない」というのは、製品や商品だけでなく、プロセスが
適切であること、無理の無いこと、ムダの無いこと、社会責任に反しないことなども
含まれます。
「留めをあわせること」
留め具が合っていないと、そこから壊れたり、戸がきしんだりと
仕事がゆがんでしまいます。
留め具というのは、インターフェースです。
システム統合やサプライチェーンマネジメントなどの業務連携では、
インターフェースをあわせることが重要です。
インターフェースがあっていないと、そこからロスや歪みが発生して
企業システムが崩壊するかもしれません。
組織間の壁が厚くて、留めがあっていないと、業務がスムーズに
流れなかったり、全体最適になりません。
企業間連携では、特に留めをあわせることで、Win-Winを考える必要が
あります。留めがあっていないと、どちらか弱いほうに負担が掛かり、
壊れてしまいます。
「かんなでよく削ること すり磨かないこと」
木材を、かんなでよく削ることは、大工さんの基本ですね。
企業システムの資源を、よく削って、真っ直ぐに、ピカピカにしましょう。
かんなのかけかた一つで、仕上げが大きく違ってきます。
かんなでよく削らずに、あとで表面だけをすり磨いて体裁を繕うようなことは、、、
ダメですよね。
入力や処理を正しくせずに、出力のところだけで、何とか凌ごうとするのは、
竹やり武装による企業システム戦略とでもいいましょうか。
いずれ、立ち行かなくなるでしょう。
「あとでゆがまないこと」
仕事は、先々まで残るものです。作ったばかりは見栄えを良く繕えても、
しばらくすると、ゆがみやたわみが出てきたりしては、仕事の評価も下がります。
仕事の成果(出力)が、後でゆがまないことは大事ですが、
企業責任や社会的責任に、あとから反しているようなことが無いことも大切ですね。
あとでゆがまないようにするには、表面だけでなく、
根っこのところで、真っ直ぐでなければならないと思います。
これが、内部統制です。
会社の基本戦略から外れた、目先の利得や効率化だけを狙った
業務手順や非公式の業務プロセスなどが横行していると仕事がゆがみます。
企業システムの構成要素で、最もゆがんではいけないもの。
それは、人事評価システムではないでしょうか。
これが真っ直ぐな会社は、あらゆることにおいて真っ直ぐに仕事がなされているようです。
逆もまた真なり。
人事評価システムの歪みは、人の心や行動をゆがませます。
ゆがんでいないかどうか、確認してみましょう。
入出力効率が良く、ノイズに強い人が、高い評価を受けていますか?
入出力効率が悪いだけでなく、その人自身がノイズとなって、企業システムを不安定な状態にしているような人が、高い位置に陣取っているようでは、最悪ですね。
そういったことが、ちゃんと見える化できるようなシステムが良いシステムです。
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