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●企業システム戦略 孫子の兵法 軍形篇 その３
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「勝ちを見ること、衆人の知る所に過ぎざれば、善の善なる者にあらざるなり。
戦い勝ちて、天下善と曰うも、善の善なる者にあらざるなり。
故に、秋豪を挙ぐるも、多力となさず。日月を見るも明目となさず。雷艇を聞くも聡耳となさず。」
勝ちを見極めるのに、誰にでも分かるような所に過ぎないのは、最善の者とは言えない。
戦いに勝って、天下で勝算を浴びるようなことも、最善の者とは言えない。
細い髪の毛一本を持ち上げたところで、力持ちとは言わない。太陽や月を見分けても、眼が良いとは言わない。雷の音を聞き分けたところで、耳が良いとは言わないのである。
強い人、技を持つ人、仕事を改善できる人というのは、やはり、眼の付け所が普通の人とは、少し違うのですかね。誰にでも分かるような勝ち方をしたところで、褒められたところではないと孫子は言います。
逆に、大げさにして、天下の衆目を集めるような勝ち方も宜しくないと孫子は言います。
では、どんなのが優れているかというと、普通の人が気がつかないような細かいところに着眼し、そして、大げさにせずに事を成し遂げることです。
情報システム構築にしろ、業務改革にしろ、派手に改革、改革と騒いだところでダメというわけでしょう。細かいところを見逃さずに、ムダ取り改善を地道に愚直にやることです。
このムダとり。やはり、ムダ取り名人は眼の付け所が違います。
普通の人が気がつかないようなところのムダを発見して改善します。そして、大げさにではなく実行します。なかなか、渋いですね。
業務を分析する手法には、データフローダイヤグラムや巻紙分析、ものと情報の流れ図などがあります。いずれも、書き方は難しくありませんので誰でも描けます。
しかし、その深さというか、掘り下げ度が、やはり、ムダ取り名人は違います。
５Ｗ２Ｈを現場・現物・現実によって、徹底的に分析します。だからこそ、常人が見えないムダを、見ることができるわけですね。その深堀の執拗さ、根気には、頭が下がります。
外からベストプラクティスを持ってくれば、会社が改善されるなどという考えとは、ひと味もふた味も違います。
派手さはありませんが、確実にムダ取りを積み重ねていく地道な姿勢が良いではないですか。社員一人一人が、そういった着眼を持って、ムダ取り改善にまい進する現場は、きっと強いでしょうね。
”神は細部に宿る”のことわざもあるように、ムダ取りの神様が沢山、居るに違いありません。
このような神様から見放されている組織では、業務のムダ取りをしないで、コンピュータで自動化してしまい、ムダ作業まで自動化してしまっています。
その結果、表面的には、効率化されたように見えます。
しかし、もともとムダな業務を、コンピュータで自動化して効率化しても、意味ないですからね。そんな誰でも分かるような効率化では、善の善なる者にあらざるなり。
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