同時に複数の問題が発生した時は、問題を直列化して、ひとつずつ順番に片付ける

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●企業システム戦略　五輪書　水之巻　多敵の位の事
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「多敵の位というのは、一人で多勢と戦う時のことである。太刀と脇差を抜いて、左右に拡げておくように構える。

敵が四方からかかって来ても、一方へ追廻すような心持である。

敵のかってくる位置、その前後を見分けて先へ進む者から早く行き合い、大局を見て敵が打ち出してくるところを右の太刀も左の太刀も一時に振りちがえて、待つこと悪し。

素早く両脇の位置に太刀を構え、敵の出てくるところを、強く切り込み追い崩して、そのまま、また敵の出てくる方へ切りかかり、振り崩す心持である。

いわば、敵をひとへに”魚つなぎ”にして、追いなす気持ちで仕掛けて、敵が重なったと見れば、そのまま間をあけず、強く払い込むのだ。

敵と相対する所、ひたと追い廻せば旨く行かない。また、敵の出方に気が奪われると、待つ気持になり旨く行かない。

敵の拍子を受けて、崩れる所を知り勝つのである。

おりをみて相手を多数集め、追込むのに慣れて、その心をつかめば、一人の敵でも、十人二十人の敵でも、平気である。」

一人で多勢と戦う時の「位取り」、つまりポジションニングと動き方についての実践的な戦法を解説しています。

これを小が大に勝つ戦法と考えても良いですし、同時並行的に発生する多様な問題を解決する時の取組み方と考えることもできます。

小が大に勝つ戦法として、敵の一点を集中して徹底的に叩くというの古今東西の兵法書や軍記に書かれています。

例えば、古代ギリシャの「レウクトラの戦い」や「ランチェスター弱者の戦略」などがありますし、
日露戦争での「日本海海戦」などもあります。

いずれにしても相手の形成を「魚つなぎ」のように長く引き伸ばして、先頭の一点に戦力を集中します。

同時多発する問題の沈静も同じように、同時に問題に取組まずに、問題を直列化し、最も早く影響が出てくる問題に焦点を絞って取り組み、次、次と一つずつ問題を粉砕していくのです。

この時に、どこが相手の頭になるか、最初に潰すべき問題かを見極める必要があります。

「敵のかってくる位置、その前後を見分けて」というところです。

そして、大局を見て相手の出方や問題を選別しながら、次々と攻撃をしかけます。相手の出方や問題の選別に囚われすぎると、待つ気持ちが出てきて良くありません。

また、一つの問題に固執しすぎても良くありません。

敵（問題）の崩れるところを知り、そこに徹底的に戦力を集中して撃破していくのです。

こういった戦いを展開するためには、情報力が必要です。攻撃対象のデータを集め、瞬時に攻撃すべき一点を分析できるようなシステムを構築しましょう。

ここでいうシステムとは、ビジネスインテリジェンスのような”道具”だけではなく、それを実戦で使いこなせる人材や組織文化などを含めた、総合的な戦闘の仕組みです。

「おりをみて相手を多数集め、追込むのに慣れて、その心をつかめば、一人の敵でも、十人二十人の敵でも、平気である。」

単に道具を手に入れるだけではなく、使いこなしの心をつかんでこそ、あらゆる問題や状況に平常心を持って対処できるのです。