システム開発で第二ステップという考え方

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システムの稼働開始予定を遅らせることができないことがある。一方で開発規模が膨れ上がり、稼働開始までに開発を終えることが難しい状況というのもある。

開発規模を縮小することができるなら、縮小すればよいのだがなかなかそういうわけにもいかない。そうなると人を増やして作業を消化できないかと考える。

しかし、人を増やしても有効な対策にならない可能性が高いことは、ずっと昔からソフトウェア開発現場の常識でもある。

プロジェクトスケジュールを見ると、開発期間を削ることができないので多くの場合、一番最後のユーザ受入れテストなどが圧縮されている。システム稼働直前の３か月とか。

実際には開発作業は遅れるだろうからユーザ受入れテストはさらに圧縮され、駆け込みでカットオーバーを迎えるわけだが、そのユーザ受入れテストで要件漏れなどが発覚し、火を見るのは明らかだろう。

こんな八方ふさがりの状況になった時は、第二ステップという考え方を取り入れてみるとよい。

様々な機能の中で、「必須」と「必須でないもの」を仕分けて、後者を稼働開始後に第二ステップとして追加開発するということだ。

「必須」とは、その機能がないと業務が成立せず、代替手段もないことを意味する。

例えば、購買業務であれば注文書を発行するような機能をいう。一方、「必須でないもの」とは電子承認のような機能をいう。代替手段として紙による承認があるからだ。

もちろん生産性等の面から電子承認が有用なことは確かだから、これを実装しないという選択肢はない。しかし、稼働開始時点では紙による承認として、第二ステップとして稼働開始後に追加開発することを考える。

業務量によっては数か月を紙による承認でも受入れが可能かもしれない。当然、追加開発が完了するまでは生産性が低下することを経営判断で了解する必要がある。

場合によっては、数か月間を臨時で増員するということもありえる。

このような経営判断を行わないで、全ての機能をなにがなんでも稼働開始までに完成させよというのは無謀というものだ。時には、いったん引いてみることも有効だ。

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●企業システム戦略　五輪書　水之巻　二の腰の拍子の事
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二の腰の拍子というのは、自分が打ちかかろうとする時、それより早く敵が引こうとした時、あるいは早く打ってきた時は、打つとみせて、敵が緊張したあとの気が弛んだところを打つ、あるいは、引くとみせて、敵の気が弛んだところを打つ。これが、二の腰の打ちである。